浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0094A01: | 空なるやうに思ひ・穢土は現に見る故に心外に顯然 |
J09_0094A02: | としてありと思ふ也・心識名異義通又麤學の人擧足下足皆道 |
J09_0094A03: | 塲也・凡聖不二也など云ふ事をきき・是に心うかれ |
J09_0094A04: | て・我は是凡夫也・出離の縁なしと・染染と思はざ |
J09_0094A05: | る故に本願を賴む心切ならず・故に佛願に乘ずる邊 |
J09_0094A06: | の薄き也・向阿の云・我か身に生死を出つべき功あ |
J09_0094A07: | りと思はば本願のうれしさも強ちなるまじきにや・ |
J09_0094A08: | 又云・ねがふ心よりも・賴む心こそすすみたけれ・ |
J09_0094A09: | 云云・自力を好む人は・佛力法力の不思議を信ずる |
J09_0094A10: | 心深からず・他力を好む人は罪の恐るべきを恐れず・ |
J09_0094A11: | 往生は佛の御力也・念佛は我か所作也と云事を忘れ・ |
J09_0094A12: | 勤むれば勤めらるる稱名の數遍を不勵・人の心多分 |
J09_0094A13: | は偏也・又心偏ならざる人は・一向專修を不好・とり |
J09_0094A14: | しめもなく・多くの佛菩薩を念じ・廣く諸行に亘る故 |
J09_0094A15: | に諸願成じ難しと見ゆ・然阿の云・悲哉・信因果者・ |
J09_0094A16: | 他力之信弱・信本願者・因果之理緩・庶幾專信 |
J09_0094A17: | 本願・兼信因果・即叶佛意・可遂往生者也・云云 |
J09_0094B18: | 伯夷仁を得て飢え盜跖壽を以て終ふ・儒には是を |
J09_0094B19: | 命と云ひ・老莊は虚無自然と談ぜり南華眞經三十 |
J09_0094B20: | 二篇は・自然の兩字を説く・猶謂大日經疏二十卷凡三十萬言・説阿一字・喪 |
J09_0094B21: | 馬之老・委倚伏於秋草・夢蝶之翁・任是非於春叢・ |
J09_0094B22: | 佛敎には因果を説き・業に順現順生順後ある事を知 |
J09_0094B23: | らしむ・過去の因を知り未來の果を信ずる人は・殺 |
J09_0094B24: | をこのむ者壽長く・施を好む人貧乏なるを見ても・ |
J09_0094B25: | 邪見を生ぜず・業性空也といへども因果失せず・因 |
J09_0094B26: | 縁會遇する時其報を受けずと云事なし・善導の曰・ |
J09_0094B27: | 戯咲作罪多劫受・不惜佛意取人情・愼莫輕心 |
J09_0094B28: | 縱三業・業道分明不可欺・云云・業力の不思議 |
J09_0094B29: | なるは・夜摩天已上は地居にあらず・鬼は風を見て |
J09_0094B30: | 土を見ず・中有より見るには鐵壁をも障えず・野干 |
J09_0094B31: | に業通あり・騏驥狸狌各能くする所あり・衆生業成 |
J09_0094B32: | ずれば遁れ難く・一息截斷の時當來の生所定まる・ |
J09_0094B33: | 現在の縁盡きて閻浮提を去る時は分別の心息んで阿 |
J09_0094B34: | 賴耶識を前導として中有に到る・但し業力所感の故 |