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J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0094A01: 空なるやうに思ひ・穢土は現に見る故に心外に顯然
J09_0094A02: としてありと思ふ也・心識名異義通又麤學の人擧足下足皆道
J09_0094A03: 塲也・凡聖不二也など云ふ事をきき・是に心うかれ
J09_0094A04: て・我は是凡夫也・出離の縁なしと・染染と思はざ
J09_0094A05: る故に本願を賴む心切ならず・故に佛願に乘ずる邊
J09_0094A06: の薄き也・向阿の云・我か身に生死を出つべき功あ
J09_0094A07: りと思はば本願のうれしさも強ちなるまじきにや・
J09_0094A08: 又云・ねがふ心よりも・賴む心こそすすみたけれ・
J09_0094A09: 云云・自力を好む人は・佛力法力の不思議を信ずる
J09_0094A10: 心深からず・他力を好む人は罪の恐るべきを恐れず・
J09_0094A11: 往生は佛の御力也・念佛は我か所作也と云事を忘れ・
J09_0094A12: 勤むれば勤めらるる稱名の數遍を不勵・人の心多分
J09_0094A13: は偏也・又心偏ならざる人は・一向專修を不好・とり
J09_0094A14: しめもなく・多くの佛菩薩を念じ・廣く諸行に亘る故
J09_0094A15: に諸願成じ難しと見ゆ・然阿の云・悲哉・信因果者・
J09_0094A16: 他力之信弱・信本願者・因果之理緩・庶幾專信
J09_0094A17: 本願・兼信因果・即叶佛意・可遂往生者也・云云
J09_0094B18: 伯夷仁を得て飢え盜跖壽を以て終ふ・儒には是を
J09_0094B19: 命と云ひ・老莊は虚無自然と談ぜり南華眞經三十
J09_0094B20: 二篇は・自然の兩字を説く・猶謂大日經疏二十卷凡三十萬言・説阿一字・
J09_0094B21: 馬之老・委倚伏於秋草・夢蝶之翁・任是非於春叢・
J09_0094B22: 佛敎には因果を説き・業に順現順生順後ある事を知
J09_0094B23: らしむ・過去の因を知り未來の果を信ずる人は・殺
J09_0094B24: をこのむ者壽長く・施を好む人貧乏なるを見ても・
J09_0094B25: 邪見を生ぜず・業性空也といへども因果失せず・因
J09_0094B26: 縁會遇する時其報を受けずと云事なし・善導の曰・
J09_0094B27: 戯咲作罪多劫受・不惜佛意取人情・愼莫輕心
J09_0094B28: 縱三業・業道分明不可欺・云云・業力の不思議
J09_0094B29: なるは・夜摩天已上は地居にあらず・鬼は風を見て
J09_0094B30: 土を見ず・中有より見るには鐵壁をも障えず・野干
J09_0094B31: に業通あり・騏驥狸狌各能くする所あり・衆生業成
J09_0094B32: ずれば遁れ難く・一息截斷の時當來の生所定まる・
J09_0094B33: 現在の縁盡きて閻浮提を去る時は分別の心息んで阿
J09_0094B34: 賴耶識を前導として中有に到る・但し業力所感の故

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