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J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0093A01: 台宗にては彌陀の報應と號す・密宗にては・報身報
J09_0093A02: 土と名く・安養十題一也又化に即して報を見ると云は・自力
J09_0093A03: 也・凡夫報土に入ると云は彌陀別願の佗力に依りて
J09_0093A04: 也・大乘同性經に云・西方安樂の阿彌陀佛は是れ報
J09_0093A05: 佛報土なり・云云・然阿は・報化の諍論何の益かあ
J09_0093A06: るといへり・極樂若し化身化土也とも・不退の土にし
J09_0093A07: て・彼の國より業に引かれて・再び生死に沈淪せず・
J09_0093A08: 直に成佛すとならば・不足はなき事也・又上上根智
J09_0093A09: の人は・自力にてすら即身に成佛す・况や佛力の不
J09_0093A10: 思議・瓧礫を變じて金と成し・凡夫を報土に入れし
J09_0093A11: むるに・何のかたき事かあらん・八地の菩薩能く本
J09_0093A12: 質を轉ず・佛法の妙・凡智を以て測るべからず・
J09_0093A13: 又往生に・見生無生の往生・無生而生の往生と云事
J09_0093A14: あり・見生無生の往生と云は・凡愚妄情を改めず・
J09_0093A15: 生得のままにて佛願を賴み・往生を遂ぐるをいふ・無
J09_0093A16: 官無位の者をも別勅にて召せば・大内の殿に上るを・
J09_0093A17: 上人・凡夫報土に入るの喩とし給ふ・無生而生の往
J09_0093B18: 生といふは・此の土にて無生の理に契ひて後極樂に
J09_0093B19: 生するをいふ・天子の御前に・常に祗候する人に・
J09_0093B20: 殊更に昇殿を聽りたる時初て參内し給ふには無名門
J09_0093B21: より入り淸凉殿の階の前にて舞踏し・即ち殿に上り・
J09_0093B22: 臺盤所に著給ふを此事近代無之無生而生の喩とすべきか
J09_0093B23: 念佛の行者臨終の夕瑞相を感じ・或は佛の告を蒙り・
J09_0093B24: 或は死期を知りて往生を遂げたる者・貞享の比より
J09_0093B25: 元祿の初までに・畿内江州六國の間に於て・我か聞く
J09_0093B26: 所も二十人に埀とす・遠國にも定んてあるべし・此の
J09_0093B27: 往生を遂げたる人の事を語るを聞くに多くは愚にし
J09_0093B28: て信深き人也・頑愚なる者は本願を賴む心強し・極樂
J09_0093B29: へ生ずるを・四國九州などへ下るやうに思ふ故に・信
J09_0093B30: 心堅固也・之に依りて本願に能く乘ずると見えたり・
J09_0093B31: 少智ある人は諸法は唯心の所造也と聞いて・安養を
J09_0093B32: 慥に西にありと思はず・是は郤りて唯識の道理に闇
J09_0093B33: きに依りて也・若唯心の沙汰をいはば淨土のみなら
J09_0093B34: ず・十界皆唯識の所變也・然に淨土は現に見ざる故に

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