浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0086A01: | を覺さしむといひて涙を流す・其夕へ西の壁に・彌 |
J09_0086A02: | 陀の畫像を掛げ尼衆三五を招いて念佛せしむ・母は |
J09_0086A03: | 臥ながら・時時微音に名號を稱ふ・告を蒙りし日よ |
J09_0086A04: | り第三日に當る夕・頭北面西にして臥し念佛數遍を |
J09_0086A05: | 唱へて終れり・それより年を經て後喜菴が命終の前 |
J09_0086A06: | 日に兒死後を告ぐる事母の時の如し・喜菴は西に向 |
J09_0086A07: | ひて端坐合掌し・念佛を高聲に稱へ・其後泊然とし |
J09_0086A08: | て化せり・覺俊・良繼・兩僧共に此事を語るを・聞く・ |
J09_0086A09: | 念佛の行者の夢中に・佛來りて往生の期を告給ふは・ |
J09_0086A10: | 度度ある事也・先き立ちて往生せし人の來りて死期 |
J09_0086A11: | を告侍る事・近き比には此兒が外には未だ聞かざる |
J09_0086A12: | 所也・若し疑心なき人ならば・此一事を聞いても往 |
J09_0086A13: | 生を一定と思ふべき事也・西行が歌に・ |
J09_0086A14: | 西へ行く月をよそにや思ふらん |
J09_0086A15: | 心にいらぬ人の爲には |
J09_0086A16: | 昔法藏願を建てて斯願若剋果・大千應感動・虚空諸 |
J09_0086A17: | 天人・當雨珍玅華・と願ひ給へば・地震動し・天華 |
J09_0086B18: | を雨らす・此の瑞相ばかりにても・衆生の往生は疑な |
J09_0086B19: | き事也・又斯願不滿足・不成正覺と誓ひ給ふ・ |
J09_0086B20: | 菩薩願成就の故に・佛と成給ふ・若願成就せずは・ |
J09_0086B21: | 爭か佛と成給ふべき・菩薩成佛し給ふを以て・我等 |
J09_0086B22: | が往生に・露ばかりも疑はしき事はなき也・大經に |
J09_0086B23: | 曰・成佛已來・凡歷十劫・云云・經論の明文といひ・ |
J09_0086B24: | 和漢の往生傳といひ・現證といひ・極樂往生の一路 |
J09_0086B25: | に於ては更に一點の狐疑なき事也・然るに信ずる人 |
J09_0086B26: | は少く・疑ふ人は多し・疑心は往生の四障の一つ也・ |
J09_0086B27: | 又疑は六煩惱の隨一也・力を加へて伏斷すべし・ |
J09_0086B28: | 阿彌陀佛内證の功德外用の功德を・悉く南無阿彌陀 |
J09_0086B29: | 佛の六字の中に納めて・衆生に施し給ふ・實に不可 |
J09_0086B30: | 思議功德の名號なる故に・一遍唱ふるに無量の罪を |
J09_0086B31: | 滅す・骨を碎いても佛恩を報ずべし・若し佛の恩 |
J09_0086B32: | を報ぜんと思はん人は・念佛數遍を勵みて早く上輩 |
J09_0086B33: | の人と成り廣く衆生を度すべし・觀經に云・佛心者大 |
J09_0086B34: | 慈悲是・云云・慈悲心即佛の心なれば・利生の志あ |