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J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0086A01: を覺さしむといひて涙を流す・其夕へ西の壁に・彌
J09_0086A02: 陀の畫像を掛げ尼衆三五を招いて念佛せしむ・母は
J09_0086A03: 臥ながら・時時微音に名號を稱ふ・告を蒙りし日よ
J09_0086A04: り第三日に當る夕・頭北面西にして臥し念佛數遍を
J09_0086A05: 唱へて終れり・それより年を經て後喜菴が命終の前
J09_0086A06: 日に兒死後を告ぐる事母の時の如し・喜菴は西に向
J09_0086A07: ひて端坐合掌し・念佛を高聲に稱へ・其後泊然とし
J09_0086A08: て化せり・覺俊・良繼・兩僧共に此事を語るを・聞く・
J09_0086A09: 念佛の行者の夢中に・佛來りて往生の期を告給ふは・
J09_0086A10: 度度ある事也・先き立ちて往生せし人の來りて死期
J09_0086A11: を告侍る事・近き比には此兒が外には未だ聞かざる
J09_0086A12: 所也・若し疑心なき人ならば・此一事を聞いても往
J09_0086A13: 生を一定と思ふべき事也・西行が歌に・
J09_0086A14: 西へ行く月をよそにや思ふらん
J09_0086A15: 心にいらぬ人の爲には
J09_0086A16: 昔法藏願を建てて斯願若剋果・大千應感動・虚空諸
J09_0086A17: 天人・當雨珍玅華・と願ひ給へば・地震動し・天華
J09_0086B18: を雨らす・此の瑞相ばかりにても・衆生の往生は疑な
J09_0086B19: き事也・又斯願不滿足・不成正覺と誓ひ給ふ・
J09_0086B20: 菩薩願成就の故に・佛と成給ふ・若願成就せずは・
J09_0086B21: 爭か佛と成給ふべき・菩薩成佛し給ふを以て・我等
J09_0086B22: が往生に・露ばかりも疑はしき事はなき也・大經に
J09_0086B23: 曰・成佛已來・凡歷十劫・云云・經論の明文といひ・
J09_0086B24: 和漢の往生傳といひ・現證といひ・極樂往生の一路
J09_0086B25: に於ては更に一點の狐疑なき事也・然るに信ずる人
J09_0086B26: は少く・疑ふ人は多し・疑心は往生の四障の一つ也・
J09_0086B27: 又疑は六煩惱の隨一也・力を加へて伏斷すべし・
J09_0086B28: 阿彌陀佛内證の功德外用の功德を・悉く南無阿彌陀
J09_0086B29: 佛の六字の中に納めて・衆生に施し給ふ・實に不可
J09_0086B30: 思議功德の名號なる故に・一遍唱ふるに無量の罪を
J09_0086B31: 滅す・骨を碎いても佛恩を報ずべし・若し佛の恩
J09_0086B32: を報ぜんと思はん人は・念佛數遍を勵みて早く上輩
J09_0086B33: の人と成り廣く衆生を度すべし・觀經に云・佛心者大
J09_0086B34: 慈悲是・云云・慈悲心即佛の心なれば・利生の志あ

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