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J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0085A01: 生ずべし・至誠に衣鉢を捨て三寳物を償ひ・形像を
J09_0085A02: 畵き其像の前に於て・專ら彼本願を念ぜば下品上生
J09_0085A03: に生ずべし・言已て忽然として見えず・維那・敬が
J09_0085A04: 敎の如くす・七日を經て命終す
J09_0085A05: 立ちかへる夢のただちに敎へをく
J09_0085A06: 臺の花の末の上露
J09_0085A07: と定家卿の詠み給へるも・此の法敬が事也・末の上露
J09_0085A08: とは・下品上生の事也・是は維那が品位をよめる也・
J09_0085A09: 正保の比・大和の國柏木と云所に・筍靈上人と云人
J09_0085A10: あり・貴き念佛の僧にてありしと也・此の和尚の俗
J09_0085A11: 弟に森川喜菴と云ふ者あり・同國會が峯と云所に住
J09_0085A12: めり・原は賴朝卿の母公に仕へし士の裔也・喜菴夫
J09_0085A13: 婦共に靈上人に歸し・常に能く念佛す・末の子に童
J09_0085A14: 男あり・四歳の時より・父母と共に柏木に詣し好ん
J09_0085A15: で名號を稱ふ・父母佛像に向ひ居る時は兒必ず傍に
J09_0085A16: 在りて念佛す・八歳の春十餘日病めり・ある朝・兒
J09_0085A17: 母に語侍しは・我れ明朝極樂へ生る・此曉夢に佛の
J09_0085B18: 御告ありといふ・母聞いて且喜び且憂ふ兒母が嘆け
J09_0085B19: る色を見・日比求むる所に行くは限なき喜也・何の別
J09_0085B20: れの悲き事かあらん早く父を呼給べしといふ・喜菴
J09_0085B21: 來れり兒具に夢中の御告を語る・父が曰汝極樂に生
J09_0085B22: じ六通を得ば兩親に往生の期を告くべじ・兒諾す・
J09_0085B23: 兒翌朝西に向つて合掌し名號を唱へて逝す・十餘年
J09_0085B24: の後・夏の比母數日病めり・一日病牀に臥し眠居り・
J09_0085B25: 數數寢言をいふ・傍に小女のありしが母が形を動し・
J09_0085B26: 眠を醒さしむ・高野山の慈眼院覺俊闍梨・法隆寺の
J09_0085B27: 持寳院良繼法師は・兒が肉兄也・二人共に母が枕上に
J09_0085B28: 居す・母睡覺めて後兩僧に語り侍りしは・唯今夢中に
J09_0085B29: 金色の菩薩來りて我れに往生の期を告給ふ明後日の
J09_0085B30: 夕暮佛と共に來りて・汝を極樂へ迎ふべしと宣へり・
J09_0085B31: 如何なる菩薩にてか在す御名をば何とか申すぞと問
J09_0085B32: ふ名をば答給はず我は先立ちて往生せし汝か子也・
J09_0085B33: 約に任せて來ると云ひて本形に復せり・極樂の莊嚴
J09_0085B34: 快樂の事を問ふに具に答給ふ・其半に我を驚かし眠

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