ウィンドウを閉じる

J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0073A01: 行に・一步を蹈み出すの後・緩急はともあれ・行くま
J09_0073A02: じきと思ふ心の發らすして步み行くは・無間長時の
J09_0073A03: 義を具せり・三心の現起せざる時は・三心内心に成
J09_0073A04: 就す之に凖して知るべし・三心の現起と云は・心に
J09_0073A05: 助給へと思ふ時なり・現起せざると云は・心に助給
J09_0073A06: へとも思はず・妄念ながらに稱ふる時也・此時は三
J09_0073A07: 心は行者の心の底に納まりてある也・故に三心を具
J09_0073A08: したる人の・唱ふる名號は・心の亂不亂を論せず・徒
J09_0073A09: に唱へ棄つるに一遍も空しからず・皆往生の業と成
J09_0073A10: る也・向阿の云・人毎に其日の數遍に取向ふをりは・
J09_0073A11: 先いかにも往生の思ひより・申し初めらるる事なれ
J09_0073A12: ば・念念の念佛は皆本の約束にかへりて始の志に納
J09_0073A13: まりぬべし・又しどけなく申し散したる念佛なれど
J09_0073A14: も後に必ずとり集めて極樂に迴向する思あり・此時
J09_0073A15: 妄念は自ら擇み捨てられ・念佛は悉く擇ひ取られて・
J09_0073A16: 汚るるる所なく皆淸淨の業と成る也・然れば・かま
J09_0073A17: へて口ばかりにもあれ唱へ置くべき也・終に迴向せ
J09_0073B18: ん時志と一つになるべきが故に妄念と共にても申し
J09_0073B19: たらん・念佛の・遂に徒らなる事は・ゆめゆめ侍る
J09_0073B20: まじ・水火の二河を顧りみず・念念に忘れざれと云
J09_0073B21: も・此心なるべし云云・
J09_0073B22: 三心は行者の具する心なる故に・退の義なきに非ず・
J09_0073B23: 一度具すれば・退かずとは思ふべからず・上人も・
J09_0073B24: 多分不退少分退と宣へり・佛國禪師の歌に・
J09_0073B25: 折得ても心許すな山櫻
J09_0073B26: さそふ嵐のありもこそすれ
J09_0073B27: 或は異學異見退・自造罪退・命欲終時退を敎へ・又
J09_0073B28: 四修を以て念佛を勵ませと侍るも用心の爲也・大經
J09_0073B29: に・五惡五痛五燒を説給ふ・是も用心の爲也といへ
J09_0073B30: り・卷を披いて見るべし・若經を見る事叶はざる人は
J09_0073B31: 洛陽報恩寺に五痛五燒の體を委しく圖せる大經の曼
J09_0073B32: 陀羅あり往いて見るべし・心行具足の念佛の人は・
J09_0073B33: 往生一定也といへども・用心の爲に・迎接の變相・
J09_0073B34: 變者動也綵縷御手絲事などをも所持すべし・死は時處を簡はざ

ウィンドウを閉じる