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J1330 吉水遺誓諺論附録正流弁 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0055A01: なりてと云ひ。又阿彌陀佛と申てぞ叶はんと云御言
J09_0055A02: は。是まさしく相承の法語なり。一枚起請の文言には
J09_0055A03: あらず。然れば大師御臨終の時。此法語を再び取用
J09_0055A04: ひさせ玉ひて。文言少し潤色して。南無阿彌陀佛ど
J09_0055A05: 申せば。决定して往生するぞと。信じ取るべきなり
J09_0055A06: と云一段を。起請文に改め。更に奧書を加へて。末
J09_0055A07: 後の御遺誓となして勢觀房に授け玉ひける也。され
J09_0055A08: ば大師末後の極訓をば。鎭西上人預じめ早既に授り
J09_0055A09: 玉ひき。實に吉水相承の正統たる。規模とするに足れ
J09_0055A10: るものなり。大師一代書置かせ玉へる法語を集めて
J09_0055A11: 和語燈錄七卷に及べり。かくの如くあまた有りける
J09_0055A12: 法語の中にわきて鎭西に授け玉へる。法語を撰びと
J09_0055A13: りて。特に起請文を加へて。滅後の邪義を防がんが
J09_0055A14: 爲にと書置かせ玉へる大師の御心をはかるに。勢觀
J09_0055A15: に授け玉ふは。即ち鎭西に授け玉へるなり。其故は
J09_0055A16: 鎭西既に學成り功遂けて彼法語を相承して西海に歸
J09_0055A17: り。念佛弘通し玉ふ所に。背宗の贋徒。彼國に徘徊
J09_0055B18: して。或は金剛寳戒の怪義。或は鏡像圓融の僞説を
J09_0055B19: 弘めて。是こそ吉水内證。眞實の法門なれ。鎭西の
J09_0055B20: 相承せる。專修稱名の行は。しばらく初機の誘引な
J09_0055B21: り。吉水の本意にはあらずと披露して。男女を惑亂
J09_0055B22: せし。ことなどありけるを。大師もかねてしろしめ
J09_0055B23: されし故に。殊更鎭西相承を取て。起請文を加へ。
J09_0055B24: 末後の遺誓となし。彌鎭西の相承は眞實吉水の正統
J09_0055B25: にして僞りなきことを示して滅後の邪義を。防がし
J09_0055B26: め玉ふ御心なるべしと。鎭西の爲には。いと忝なき
J09_0055B27: 御遺誓なり
J09_0055B28: 次に源智相承とは。此一枚起請文は圓光大師御臨終
J09_0055B29: の前に。自ら御筆を染められて。まのあたり門弟源智
J09_0055B30: に付囑し玉ひける御遺誓なり。勢觀房源智は。備中
J09_0055B31: 守師盛朝臣の子。小松内府重盛公の孫なり。平家逆
J09_0055B32: 亂の後。世をはばかりて。母儀これを隱しもてりけ
J09_0055B33: るを。建久六年生年十三歳の時大師に進ず。大師こ
J09_0055B34: れを慈鎭和尚に進ぜられけり。彼門室に參じて。出

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