浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0055A01: | なりてと云ひ。又阿彌陀佛と申てぞ叶はんと云御言 |
J09_0055A02: | は。是まさしく相承の法語なり。一枚起請の文言には |
J09_0055A03: | あらず。然れば大師御臨終の時。此法語を再び取用 |
J09_0055A04: | ひさせ玉ひて。文言少し潤色して。南無阿彌陀佛ど |
J09_0055A05: | 申せば。决定して往生するぞと。信じ取るべきなり |
J09_0055A06: | と云一段を。起請文に改め。更に奧書を加へて。末 |
J09_0055A07: | 後の御遺誓となして勢觀房に授け玉ひける也。され |
J09_0055A08: | ば大師末後の極訓をば。鎭西上人預じめ早既に授り |
J09_0055A09: | 玉ひき。實に吉水相承の正統たる。規模とするに足れ |
J09_0055A10: | るものなり。大師一代書置かせ玉へる法語を集めて |
J09_0055A11: | 和語燈錄七卷に及べり。かくの如くあまた有りける |
J09_0055A12: | 法語の中にわきて鎭西に授け玉へる。法語を撰びと |
J09_0055A13: | りて。特に起請文を加へて。滅後の邪義を防がんが |
J09_0055A14: | 爲にと書置かせ玉へる大師の御心をはかるに。勢觀 |
J09_0055A15: | に授け玉ふは。即ち鎭西に授け玉へるなり。其故は |
J09_0055A16: | 鎭西既に學成り功遂けて彼法語を相承して西海に歸 |
J09_0055A17: | り。念佛弘通し玉ふ所に。背宗の贋徒。彼國に徘徊 |
J09_0055B18: | して。或は金剛寳戒の怪義。或は鏡像圓融の僞説を |
J09_0055B19: | 弘めて。是こそ吉水内證。眞實の法門なれ。鎭西の |
J09_0055B20: | 相承せる。專修稱名の行は。しばらく初機の誘引な |
J09_0055B21: | り。吉水の本意にはあらずと披露して。男女を惑亂 |
J09_0055B22: | せし。ことなどありけるを。大師もかねてしろしめ |
J09_0055B23: | されし故に。殊更鎭西相承を取て。起請文を加へ。 |
J09_0055B24: | 末後の遺誓となし。彌鎭西の相承は眞實吉水の正統 |
J09_0055B25: | にして僞りなきことを示して滅後の邪義を。防がし |
J09_0055B26: | め玉ふ御心なるべしと。鎭西の爲には。いと忝なき |
J09_0055B27: | 御遺誓なり |
J09_0055B28: | 次に源智相承とは。此一枚起請文は圓光大師御臨終 |
J09_0055B29: | の前に。自ら御筆を染められて。まのあたり門弟源智 |
J09_0055B30: | に付囑し玉ひける御遺誓なり。勢觀房源智は。備中 |
J09_0055B31: | 守師盛朝臣の子。小松内府重盛公の孫なり。平家逆 |
J09_0055B32: | 亂の後。世をはばかりて。母儀これを隱しもてりけ |
J09_0055B33: | るを。建久六年生年十三歳の時大師に進ず。大師こ |
J09_0055B34: | れを慈鎭和尚に進ぜられけり。彼門室に參じて。出 |