浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0053A01: | 時より子時に至るまで。演説數刻に及ぶ。是を聞く |
J09_0053A02: | に高峯の心やみ渴仰の思ひ深し。是に於て始て聖道 |
J09_0053A03: | 自力の學文の外に。淨土他力の學問ありといふこと |
J09_0053A04: | を信知して。大師に逢奉らずば空しく一生を過きて |
J09_0053A05: | まし。悲喜交ながれて。實に凡夫解脱の直路は。本 |
J09_0053A06: | 願念佛の一門に局れりと。信解せられしかば。それ |
J09_0053A07: | より永く大師を師とし事へて。首尾八箇年。寸陰を |
J09_0053A08: | 惜み。釋文を研覈して。一宗の深奧を極むる事。一 |
J09_0053A09: | 器の水を。一器にうつすがごとし。爰に大師三十年 |
J09_0053A10: | 來。念佛の弘通久しく。世に盛りなりけるに。其頃 |
J09_0053A11: | 早門弟の中に弊魔きほひ起りて。吉水の秘密の相承 |
J09_0053A12: | なりと僞はりてひそかに安心起行の邪義を勸むる輩 |
J09_0053A13: | も。やや世に聞ゆるおりふしなりければ。大師も聖光 |
J09_0053A14: | に逢玉へることを。實に傳燈の法器を得たりと。よ |
J09_0053A15: | ろこばせ玉ひにけるにこそ。老衰の御疲をも。厭は |
J09_0053A16: | せ玉はず。日日の講談。懈りなく。提撕の慈訓。他に |
J09_0053A17: | 異にして。遂に淨土宗の安心起行の極要を。一紙の |
J09_0053B18: | 法語に書し賜はりけり。聖光歸國の後。又傳法他に |
J09_0053B19: | 異なることを標せられん爲に。附法の起請文を。御 |
J09_0053B20: | 自筆に書して。遙に鎭西に贈り玉はりて。末代の龜 |
J09_0053B21: | 鏡にぞ備へ玉ひける。聖光淨土の法門を。九州に弘 |
J09_0053B22: | 通して。其利益廣大なりき。晩年に及んで末弟の濁 |
J09_0053B23: | 亂せんことを恐れ。祖承の法語に依て末代念佛授手 |
J09_0053B24: | 印一卷を著はして。始めて淨土源流の血脈をたて玉 |
J09_0053B25: | ひしより。吉水の正脈。綿綿としてたへず。願行相 |
J09_0053B26: | 續の正義末代に傳はれり。其ころ生佛と云ふ法師。 |
J09_0053B27: | 念佛往生に歸せんと思ひけるに。吉水の門弟。異義 |
J09_0053B28: | 蘭菊にして。其邪正凡慮に决しがたければ。遙に信 |
J09_0053B29: | 州善光寺に參詣して。此事を祈りけるに。白髮の高 |
J09_0053B30: | 僧夢中に現じて告けて曰。汝が謂ふ所。我今敎へ示 |
J09_0053B31: | さん。鎭西聖光房。能能往生の道を知れり。彼僧の |
J09_0053B32: | 許とに往くべしと。明かに示し玉ひければ。生佛歡 |
J09_0053B33: | 喜して。やがて筑後國へ尋ね參りける時。良忠にか |
J09_0053B34: | くと語りければ。良忠甚だ隨喜し玉ひて。やがて筑 |