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J1330 吉水遺誓諺論附録正流弁 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0053A01: 時より子時に至るまで。演説數刻に及ぶ。是を聞く
J09_0053A02: に高峯の心やみ渴仰の思ひ深し。是に於て始て聖道
J09_0053A03: 自力の學文の外に。淨土他力の學問ありといふこと
J09_0053A04: を信知して。大師に逢奉らずば空しく一生を過きて
J09_0053A05: まし。悲喜交ながれて。實に凡夫解脱の直路は。本
J09_0053A06: 願念佛の一門に局れりと。信解せられしかば。それ
J09_0053A07: より永く大師を師とし事へて。首尾八箇年。寸陰を
J09_0053A08: 惜み。釋文を研覈して。一宗の深奧を極むる事。一
J09_0053A09: 器の水を。一器にうつすがごとし。爰に大師三十年
J09_0053A10: 來。念佛の弘通久しく。世に盛りなりけるに。其頃
J09_0053A11: 早門弟の中に弊魔きほひ起りて。吉水の秘密の相承
J09_0053A12: なりと僞はりてひそかに安心起行の邪義を勸むる輩
J09_0053A13: も。やや世に聞ゆるおりふしなりければ。大師も聖光
J09_0053A14: に逢玉へることを。實に傳燈の法器を得たりと。よ
J09_0053A15: ろこばせ玉ひにけるにこそ。老衰の御疲をも。厭は
J09_0053A16: せ玉はず。日日の講談。懈りなく。提撕の慈訓。他に
J09_0053A17: 異にして。遂に淨土宗の安心起行の極要を。一紙の
J09_0053B18: 法語に書し賜はりけり。聖光歸國の後。又傳法他に
J09_0053B19: 異なることを標せられん爲に。附法の起請文を。御
J09_0053B20: 自筆に書して。遙に鎭西に贈り玉はりて。末代の龜
J09_0053B21: 鏡にぞ備へ玉ひける。聖光淨土の法門を。九州に弘
J09_0053B22: 通して。其利益廣大なりき。晩年に及んで末弟の濁
J09_0053B23: 亂せんことを恐れ。祖承の法語に依て末代念佛授手
J09_0053B24: 印一卷を著はして。始めて淨土源流の血脈をたて玉
J09_0053B25: ひしより。吉水の正脈。綿綿としてたへず。願行相
J09_0053B26: 續の正義末代に傳はれり。其ころ生佛と云ふ法師。
J09_0053B27: 念佛往生に歸せんと思ひけるに。吉水の門弟。異義
J09_0053B28: 蘭菊にして。其邪正凡慮に决しがたければ。遙に信
J09_0053B29: 州善光寺に參詣して。此事を祈りけるに。白髮の高
J09_0053B30: 僧夢中に現じて告けて曰。汝が謂ふ所。我今敎へ示
J09_0053B31: さん。鎭西聖光房。能能往生の道を知れり。彼僧の
J09_0053B32: 許とに往くべしと。明かに示し玉ひければ。生佛歡
J09_0053B33: 喜して。やがて筑後國へ尋ね參りける時。良忠にか
J09_0053B34: くと語りければ。良忠甚だ隨喜し玉ひて。やがて筑

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