浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0050A01: | へり。扨此御一言が正く一編の樞鍵なり。此の一編 |
J09_0050A02: | は都て文言從容にして。迫切ならず。文の表は安ら |
J09_0050A03: | かに安心起行を示し玉へりとのみ見て。裏には文文 |
J09_0050A04: | 句句に悉く滅後の邪義を防玉へり。爰に大師末代 |
J09_0050A05: | の學者が。その意を得ざらん事を慮り玉ひて。特に筆 |
J09_0050A06: | を揮て滅後の邪義を防がんが爲に。所存を記し畢と |
J09_0050A07: | 書止めて滅後の學者に眼を著けよと驚覺し玉へり。 |
J09_0050A08: | 此の御驚覺によつて何れか滅後の邪義を防玉ふ所ぞ |
J09_0050A09: | と。目を拭て文文句句を窺ひみる時序分に揀玉ふは |
J09_0050A10: | さらなり。或は文中に含みて防ぐ所もあり。或は言外 |
J09_0050A11: | に響きて防く所もあり。腹に味ひて大師の御心を思 |
J09_0050A12: | ふに文章の妙もそらにしられ。立言の妙もいちじる |
J09_0050A13: | し。實に不可思議の御遺誓なり。扨滅後の邪義とは |
J09_0050A14: | 誰をか指すや。背宗の贋徒はさらなり。或は此の宗 |
J09_0050A15: | の末學にまれ。或は禪敎諸宗の學者にまれ。願行相 |
J09_0050A16: | 續の稱名の外に。異なる新奇の安心起行を將來て。 |
J09_0050A17: | 本願の念佛に混亂し。吉水の相承を障碍する人あら |
J09_0050B18: | ば。縱ひ千百年の後なりとも。皆是御遺誓に背きたる |
J09_0050B19: | 滅後の邪義也と知てかからん人いかに詐はり親むと |
J09_0050B20: | も堅く防ぎ深く恐れて遠さかるべし。この故に大師 |
J09_0050B21: | 廣く收め遠く護らんが爲めに滅後の邪義を防がん爲 |
J09_0050B22: | に所存を記し畢とは。總結し玉ひけるなり。實に吾 |
J09_0050B23: | 大師末法衆生の生死流轉を憐玉ふ。御心のやるかた |
J09_0050B24: | なさに。大悲の御膽を瀝でて書置かせ玉ふ起請文な |
J09_0050B25: | るぞかし。此深恩は。縱ひ粉骨碎身しても。いかで |
J09_0050B26: | 報盡すべきや。ただ御遺誓を悲喜頂戴して。安心起 |
J09_0050B27: | 行の寳鏡に備へ他人背徒の妖邪に惑はされず願行相 |
J09_0050B28: | 續の稱名を勵ます人のみぞ。吾大師の蓮臺上の微笑 |
J09_0050B29: | には預かるべきなり。 |
J09_0050B30: | 言近而旨遠守約而施博不出願行相續之一句。普 |
J09_0050B31: | 濟賢愚善惡之羣機。至矣。大矣。生死長夜爲大明 |
J09_0050B32: | 燈者。其惟一枚起請文歟。此實吾祖涅槃之極誡。且 |
J09_0050B33: | 爲鎭西相承之寳券。但以世人不知其所由來。五 |
J09_0050B34: | 百年來久成秘典信弗慚狂斐恭探吾祖護法之密 |