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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0050A01: へり。扨此御一言が正く一編の樞鍵なり。此の一編
J09_0050A02: は都て文言從容にして。迫切ならず。文の表は安ら
J09_0050A03: かに安心起行を示し玉へりとのみ見て。裏には文文
J09_0050A04: 句句に悉く滅後の邪義を防玉へり。爰に大師末代
J09_0050A05: の學者が。その意を得ざらん事を慮り玉ひて。特に筆
J09_0050A06: を揮て滅後の邪義を防がんが爲に。所存を記し畢と
J09_0050A07: 書止めて滅後の學者に眼を著けよと驚覺し玉へり。
J09_0050A08: 此の御驚覺によつて何れか滅後の邪義を防玉ふ所ぞ
J09_0050A09: と。目を拭て文文句句を窺ひみる時序分に揀玉ふは
J09_0050A10: さらなり。或は文中に含みて防ぐ所もあり。或は言外
J09_0050A11: に響きて防く所もあり。腹に味ひて大師の御心を思
J09_0050A12: ふに文章の妙もそらにしられ。立言の妙もいちじる
J09_0050A13: し。實に不可思議の御遺誓なり。扨滅後の邪義とは
J09_0050A14: 誰をか指すや。背宗の贋徒はさらなり。或は此の宗
J09_0050A15: の末學にまれ。或は禪敎諸宗の學者にまれ。願行相
J09_0050A16: 續の稱名の外に。異なる新奇の安心起行を將來て。
J09_0050A17: 本願の念佛に混亂し。吉水の相承を障碍する人あら
J09_0050B18: ば。縱ひ千百年の後なりとも。皆是御遺誓に背きたる
J09_0050B19: 滅後の邪義也と知てかからん人いかに詐はり親むと
J09_0050B20: も堅く防ぎ深く恐れて遠さかるべし。この故に大師
J09_0050B21: 廣く收め遠く護らんが爲めに滅後の邪義を防がん爲
J09_0050B22: に所存を記し畢とは。總結し玉ひけるなり。實に吾
J09_0050B23: 大師末法衆生の生死流轉を憐玉ふ。御心のやるかた
J09_0050B24: なさに。大悲の御膽を瀝でて書置かせ玉ふ起請文な
J09_0050B25: るぞかし。此深恩は。縱ひ粉骨碎身しても。いかで
J09_0050B26: 報盡すべきや。ただ御遺誓を悲喜頂戴して。安心起
J09_0050B27: 行の寳鏡に備へ他人背徒の妖邪に惑はされず願行相
J09_0050B28: 續の稱名を勵ます人のみぞ。吾大師の蓮臺上の微笑
J09_0050B29: には預かるべきなり。
J09_0050B30: 言近而旨遠守約而施博不出願行相續之一句。普
J09_0050B31: 濟賢愚善惡之羣機。至矣。大矣。生死長夜爲大明
J09_0050B32: 燈者。其惟一枚起請文歟。此實吾祖涅槃之極誡。且
J09_0050B33: 爲鎭西相承之寳券。但以世人不知其所由來。五
J09_0050B34: 百年來久成秘典弗慚狂斐恭探吾祖護法之密

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