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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0048A01: 救我の願心が闕けぬれば往生のためには。引業熟し
J09_0048A02: がたく。本願に相應せざる疎雜の行なりと嫌はれた
J09_0048A03: り。これによりて。たとひ智解學問ありて。諸宗の
J09_0048A04: 敎理を明らめたる人なりとも。もし定慧の力よはく
J09_0048A05: して。自力の出離は契ふべからずと思ひ知て。ただ往
J09_0048A06: 生極樂を求むる念佛ならば年來の學解の工夫を雜へ
J09_0048A07: ず。ただ念念ごとに助玉へと思ひつめて。一筋に他
J09_0048A08: 力を打ちたのみて願行相續の稱名を勵ますべしとな
J09_0048A09: り。すべて淨穢を論ぜず。當來受生の法には。願力を
J09_0048A10: もて第一とすと云事は。佛法の大なる理りなり。誰の
J09_0048A11: 學者か之を知ざらんや。况や凡夫の思ひ絶えたる界
J09_0048A12: 外淨土の受生なるをや。但し此義を知るといへども。
J09_0048A13: 螢火の少智を捨てかねて。願行相續に踈なる人は。
J09_0048A14: げによく知ることの難き故なるべし。又その願心も。
J09_0048A15: 末世の劣機は。重淨勇猛の心發りがたければ。恆所
J09_0048A16: 作ならでは。往生の業因。輙くは圓滿しがたし。こ
J09_0048A17: れによりて。稱名の心の内に。念念に相續して助玉
J09_0048B18: へと願心を勵ます時。佛の本願にも相應し。往生の業
J09_0048B19: 種をも增長して。人人の機に隨ひて。速くも遲くも。
J09_0048B20: ついに必ず。能引能滿の業を成辨すべきなり。され
J09_0048B21: ば大師云。聖道門の修行は。智慧を極めて生死を出
J09_0048B22: で。淨土門の修行は愚癡に還りて極樂に生ずど。
J09_0048B23: これ安心の至極なり。いかなるをか愚癡とは云ふ。
J09_0048B24: 仰賴救我の願心是なり。聖道門には。出離の因には
J09_0048B25: 非ずと捨てられたる凡夫癡直の心をもて。直に生死
J09_0048B26: を出で。速に淨土に生ずる事。これみな阿彌陀如來
J09_0048B27: の大願業力の致す所にして。さらさら凡夫の力には
J09_0048B28: 非ず。又その佛の大願力に乘ずる事は。ただ仰賴救
J09_0048B29: 我の願心の力なり。行者よく此意を得て。わきめも
J09_0048B30: ふらず。ふかふかと本願を賴み奉りて。心に助玉へ
J09_0048B31: と思ひ。口に南無阿彌陀佛と申て。百年報滿の夕ま
J09_0048B32: で等起の思變ぜず。得繩の業絶ゆる事なくてめでた
J09_0048B33: く聖衆の來迎を待ち奉るべきなり
J09_0048B34: 一編五段の大旨。あらあらかくの如し。初段の序分

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