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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0047A01: 結び止めて。無觀稱名の起行を勸玉へり。扨その觀念
J09_0047A02: の念佛も。念の心をさとるも。共に。もろもろの智
J09_0047A03: 者たちの沙汰と。序分に書玉へる故に。此段に智者
J09_0047A04: の振舞をせずしてと結び止めてただ愚に還りて。單
J09_0047A05: 信稱名すべしと勸玉へり。扨又前の第二段に。南無阿
J09_0047A06: 彌陀佛と申て疑なく往生するぞと思ひ取て申す外に
J09_0047A07: は別の子細候はず。と云ふ骨髓の一段を。此段に。
J09_0047A08: 唯一向に念佛すべしと云ふ。一句に結勸して。ただ
J09_0047A09: 觀念學解の心行のみにあらず。一切の諸行に目をか
J09_0047A10: けず。ひたすら唯願唯行の念佛三昧を相續すべしと
J09_0047A11: 云意を。末代に流通し玉へるなり。誠に序正流通。
J09_0047A12: 起結照應し。脉絡貫通して。いとめでたき御文章な
J09_0047A13: り。扨此段の所詮は。ただ往生極樂のために。本願
J09_0047A14: の念佛を信ぜん人ならば。佛の法身相好を觀念せず。
J09_0047A15: 諸行を雜亂せず。ただ一向に南無阿彌陀佛と。相續
J09_0047A16: 不退に稱念すべし。これ彼佛の本願起行の念佛にし
J09_0047A17: て。末法衆生の機敎相應の法なるが故なり。又その
J09_0047B18: 念佛の安心は。觀心參究の工夫を雜へず。すべて凡
J09_0047B19: 慮の領解を加へず。平に信じて。ひたすら助玉へと
J09_0047B20: 打ちかこつべし。これ彼佛の本願念佛の安心なるが
J09_0047B21: 故なり。凡そ悟道成佛の修行は。般若の智慧を離れ
J09_0047B22: ては萬善萬行みな有爲の行となる故に。たとひ念佛
J09_0047B23: 讀誦する時も。みな理觀の智慧をば先とするなり。
J09_0047B24: 扨蓮華受生の修行は。それとは遙にかはれり。悟道
J09_0047B25: をも求めず。斷惑をも求めず。ただ往生極樂をもと
J09_0047B26: むる故に。觀音の蓮臺にのらんまでは。唯妄念の凡
J09_0047B27: 夫なり。妄念の凡夫が。ただ往生の障を滅して。淨
J09_0047B28: 土の業を成ぜんために。相續して念佛申すまでなり。
J09_0047B29: その滅罪業成は。佛願他力にあらざれば。成就せず。
J09_0047B30: 又その他力に乘ずる事は。行者の信願稱名にあらざ
J09_0047B31: れば成就せず。この故に願行相續を肝要として。
J09_0047B32: 種種の解了を貴まず。たとひ參究死心に申す。銀牆
J09_0047B33: 鐵壁の念佛も。觀心推撿に申す圓頓止觀の念佛も。
J09_0047B34: 悟道得法のためには。實に利益あるべけれど。仰賴

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