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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0046A01: 無智の爲には益なし。さて此外に滅後の邪義を預め
J09_0046A02: 防玉はん事は。大師の智德といへども。いかがし玉
J09_0046A03: はんや。これによりてただ御心中の正義を示して。御
J09_0046A04: 誓言を加へ。これに背ける種種の新義は我を誣ひる
J09_0046A05: 妄説にして。悉く滅後の邪義也と知るべしと决し玉
J09_0046A06: へり。實にこれ大師の善巧。無上の手段なるべし。
J09_0046A07: されば前段に。願行相續の正義を擧けて。此段に此
J09_0046A08: 外に別の奧深事を存ぜず。もし存じて存ぜずといは
J09_0046A09: ば。二尊の慈悲にはづれて。三惡道に落ち。彌陀の
J09_0046A10: 本願にもれて。淨土に往生せじと云趣を。御詞やは
J09_0046A11: らかに。御心はげしく。一大事の後世の浮沈をかけ
J09_0046A12: て誓ひ玉へる起請文なり。然れば滅後末代に。邪義
J09_0046A13: の橫濫を防ぎ止むる金剛の堤塘は此一段に極まれる
J09_0046A14: なり。いかなる滅後の愚人なりとも。此起請文を
J09_0046A15: 見て。さらに大師の御心を疑はんや。又いかなる
J09_0046A16: 滅後の邪人なりとも。此起請文に向つて。またいかに
J09_0046A17: 大師の正義を掠め奉らんや。されば鎭西の流をくむ
J09_0046B18: 輩。五百年來他人の邪推に混ぜられず。背徒の邪義
J09_0046B19: に惑はざるは。みな御遺誓の賜なり。忝なきには侍
J09_0046B20: らずや。
J09_0046B21: ○結勸流通。第五段。
J09_0046B22: 念佛を信せん人はたとひ一代の法を能く學すと
J09_0046B23: も一文不知の愚鈍の身になして尼入道の無智の
J09_0046B24: ともからに同して智者の振舞をせすしてたた一
J09_0046B25: 向に念佛すへし
J09_0046B26: 此段は結勸流通なり。前の第一第二の段に揀收する
J09_0046B27: 所の。安心起行を。此段に結び止めて勸めて末代に
J09_0046B28: 流通し玉へり。大意は初の序分に。學問をして念の
J09_0046B29: 心をさとりて申すにもあらずと。學解の安心を揀び
J09_0046B30: 玉ふ故に。此段に。たとひ一代の法をよくよく學す
J09_0046B31: とも一文不知の愚鈍の身になしてと結び止めて。無
J09_0046B32: 解信願の安心を勸玉へり。又序分に。智者たちの沙汰
J09_0046B33: せらるる觀念の念佛にもあらずと。念佛の起行を揀
J09_0046B34: び玉ふ故に。此段に。尼入道の無智の輩に同してと。

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