浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0045A01: | 鎭西に授け玉へる法語を。再び取用ひ玉ひて。此の一 |
J09_0045A02: | 段を御誓言に改めて。末期の極訓とはなし玉へり。 |
J09_0045A03: | その御意は。鎭西聖光の相承は。眞實吉水の瀉瓶に |
J09_0045A04: | して。本願念佛の正義なりと云事を。滅後末代の衆 |
J09_0045A05: | 生にながく信を取らしめんが爲なり。さらずはいか |
J09_0045A06: | に。黑谷語燈錄七卷に及べる。數多の法語の中に。 |
J09_0045A07: | わきて鎭西相承の法語を揀取て。末期の御遺誓とは |
J09_0045A08: | し玉はんや。されば鎭西相承の正宗。漸漸世に弘ま |
J09_0045A09: | りて。五百年來天下に彌綸するを思ふに。大師の御 |
J09_0045A10: | 遺鑑まことに不可思議にして。御遺誓の烈功も。ま |
J09_0045A11: | た不可思議なる者なり。 |
J09_0045A12: | 御遺誡の來由の肝要は。此起請の一段に極まる。安 |
J09_0045A13: | 心もつねの安心。起行もつねの起行。法語もつねの法 |
J09_0045A14: | 語にして。みな珍らしき事にはあらず。ただ此起請 |
J09_0045A15: | 文と。滅後の邪義を防がんが爲にと。奧書を加へ玉 |
J09_0045A16: | へるのみが。正しく遺誡の御志なり。その故は。前の |
J09_0045A17: | 段に。南無阿彌陀佛と申て。疑なく往生するぞと思取 |
J09_0045B18: | て申内に。三心も四修もみな籠れりとの玉ふまでが。 |
J09_0045B19: | 淨土宗の安心起行の至極なり。大師三十餘年この御 |
J09_0045B20: | 勸化をなし玉ひて。その利益廣大なりしに。晩年の |
J09_0045B21: | 比他宗に暗推の義をこり。門弟に背宗の義をこりて。 |
J09_0045B22: | 大師の御勸化をば。劣機の爲の假の方便なりとすて |
J09_0045B23: | て。有智の爲には別に奧深き安心起行あり。これ大 |
J09_0045B24: | 師御眞實の秘傳なり。此義を學問せよ。領解せよ |
J09_0045B25: | と。訇りて。無智の男女に大師の御心を疑はしめた |
J09_0045B26: | り。御在世の時。はやすでに。かくのごとく。水老 |
J09_0045B27: | 鶴の弊。世にをこりければ。もしこれらの邪義が。滅 |
J09_0045B28: | 後に流れゆき。又數多の滅後の門弟の中にも。また |
J09_0045B29: | いかなる背徒か。出で來。いかなる新奇の安心をか構 |
J09_0045B30: | へて。これこそ吉水の祕傳と僞り。又諸宗の學者。宗 |
J09_0045B31: | 宗の安心を念佛に加へて。有智の爲には大師もかく |
J09_0045B32: | こそ勸め玉はめなど語りて。諸の滅後の男女にまた |
J09_0045B33: | 大師の御心を疑はしめんも測りがたしと。遠く慮は |
J09_0045B34: | かり玉へども。是非の論談は。無窮なるべければ。 |