浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0043A01: | るなり。いかなる滅後の他人背徒なりとも此御遺誓 |
J09_0043A02: | に向つて。またいかに吾大師を誣奉らんや。されば |
J09_0043A03: | 三心四修の名目を削りすてて。安心作業の意義を包 |
J09_0043A04: | 擧し。滅後の邪義を言外に防玉ふ事。あに文章の妙 |
J09_0043A05: | にあらずや。 |
J09_0043A06: | 扨此段に至て。但三心四修と申事の候は。と斷り玉 |
J09_0043A07: | ふに。亦自ら二意を含めり。一には重て邪義を防玉へ |
J09_0043A08: | り。その意は。又背徒の中に。三心は如來の三心に |
J09_0043A09: | して。甚深廣大の法なれば。貪瞋具足の凡夫などの |
J09_0043A10: | 發すべき心にはあらず。凡夫はただ如來の三心に歸 |
J09_0043A11: | 命するを。三心具足の行者とは云ふなりと談じ。又四 |
J09_0043A12: | 修は菩薩の作業なれば。これもまた甚深廣大の法に |
J09_0043A13: | して。凡夫の及ぶ修行にはあらず。凡夫は極樂に往 |
J09_0043A14: | 生して。菩薩となりて後に。淨土にて此四修を修行 |
J09_0043A15: | するなり。ただよく本願の深意をだにも。領解すれ |
J09_0043A16: | ば。三心四修を具せざれども。最初の一念に淨業圓 |
J09_0043A17: | 滿して。往生し畢ぬと云ふ邪義を勸めて。これ吉水 |
J09_0043B18: | 祕密の口傳なりと僞りける輩もありけり。然れは |
J09_0043B19: | これらの人。前ノ段に三心四修の名目を書載せ玉はざ |
J09_0043B20: | るを見ては。さればこそ。大師も年比は。かりの方便 |
J09_0043B21: | に。三心四修を。やすやすとすすめ玉ひしかども。 |
J09_0043B22: | まことは如來の三心。菩薩の四修にして。凡夫の法に |
J09_0043B23: | はあらざる故に。末期には。御眞實を示して。三心 |
J09_0043B24: | 四修の名をだにも。出し玉はず。大師の祕傳ここに |
J09_0043B25: | 顯れたりと僞りて。却てこの遺誓を邪義の證文に備 |
J09_0043B26: | へて法に因て奸をなす人有るべし。これによりて。 |
J09_0043B27: | 此段の意は。但し三心四修と申事は。背徒の思ふ樣 |
J09_0043B28: | なる。凡夫の具しがたき。佛菩薩の三心四修にはあ |
J09_0043B29: | らず。ただ疑なく往生するぞと思ひ取て。ひたと念 |
J09_0043B30: | 佛申す人には。三心四修の名をだにしらぬ。無智の人 |
J09_0043B31: | までも。自然にやすく具足して闕くることなき法な |
J09_0043B32: | るぞと云ふ義を斷らせ玉へり。此時かの如來の三心。 |
J09_0043B33: | 菩薩の四修。これ吉水の祕傳なりと云へる僞り。み |
J09_0043B34: | な顯はれにしかば。男女の疑は。跡なくはれたり。 |