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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0042A01: べき法に非ずと思ひなせり。然に善導大師の意は。
J09_0042A02: 三心は上品に限れる。起行にはあらず。九品に通
J09_0042A03: ずる安心なりと。釋し玉へり。念佛も諸行も。三心
J09_0042A04: をはなれては往生せざる故なり。されば五逆の罪人
J09_0042A05: の臨終の一念にも。たちまち發りやすき三心なりと
J09_0042A06: こそ見えたれ。さらずは。いかで往生を得んや又四
J09_0042A07: 修は。もと菩薩の行なるを。隨義轉用して。念佛の
J09_0042A08: 作業となし玉へり。凡そ恭敬無間長時の三修は。念
J09_0042A09: 佛には限らず。諸行にも通ずる法なり。又善行のみ
J09_0042A10: にも限らず。その理は惡行にも通じて。みな平生作業
J09_0042A11: の大切なる道理を。能く知り玉ふ故に念佛の上に隨
J09_0042A12: 義轉用し玉へり。これ亦善導大師の活法なるぞかし。
J09_0042A13: かかる大理にくらき人は。名に據て義を求むる故に。
J09_0042A14: 萬に一得なしと知るべし。又背徒の中に三心四修に
J09_0042A15: は別に奧深き吉水の秘傳あり。その秘傳を領解せざ
J09_0042A16: る人は。たとひ稱名相續すとも。本願に契はずと。僞
J09_0042A17: る人もありけり。然れば。もし前段に。三心四修を
J09_0042B18: 具すれば必ず往生すなどど書かせ玉はばかの他人背
J09_0042B19: 徒これを見て。さればこそ。大師も平生の昔は。機
J09_0042B20: を見て假の方便に。安心作業を。やすやすと勸め玉
J09_0042B21: ふ事も侍りしかども。末期の遺誓には。御眞實を顯は
J09_0042B22: して。必す三心四修を具せよと書置かせ玉へる上は
J09_0042B23: とて。いよいよ暗推僞濫の證據に取つて法に因て奸
J09_0042B24: を作して三心四修を僻さまに勸むる人もあるべし。
J09_0042B25: これによりて前段には。その邪説を防がれん爲に。
J09_0042B26: かの他人背徒の。みだりに穿鑿して。或は甚深廣大
J09_0042B27: なり。或は祕密の領解ありなど訇る。三心四修の
J09_0042B28: 名目を削りすてて。ただ疑なく往生するぞと思取て
J09_0042B29: 申す外には別の子細候はず。もし此外に奧深き事を
J09_0042B30: 存ぜば。二尊の憐にはづれんと。誓を立てて决定し
J09_0042B31: 玉ふ時。大師の御本意かくれなく顯れにしかば。か
J09_0042B32: の三心四修を。やすやすと勸め玉ふは。假の方便な
J09_0042B33: りと云へる暗推も。又別に奧深き領解ありなど云へ
J09_0042B34: る僞濫も。みな大師を誣奉つる詐なりとは。知れた

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