浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0042A01: | べき法に非ずと思ひなせり。然に善導大師の意は。 |
J09_0042A02: | 三心は上品に限れる。起行にはあらず。九品に通 |
J09_0042A03: | ずる安心なりと。釋し玉へり。念佛も諸行も。三心 |
J09_0042A04: | をはなれては往生せざる故なり。されば五逆の罪人 |
J09_0042A05: | の臨終の一念にも。たちまち發りやすき三心なりと |
J09_0042A06: | こそ見えたれ。さらずは。いかで往生を得んや又四 |
J09_0042A07: | 修は。もと菩薩の行なるを。隨義轉用して。念佛の |
J09_0042A08: | 作業となし玉へり。凡そ恭敬無間長時の三修は。念 |
J09_0042A09: | 佛には限らず。諸行にも通ずる法なり。又善行のみ |
J09_0042A10: | にも限らず。その理は惡行にも通じて。みな平生作業 |
J09_0042A11: | の大切なる道理を。能く知り玉ふ故に念佛の上に隨 |
J09_0042A12: | 義轉用し玉へり。これ亦善導大師の活法なるぞかし。 |
J09_0042A13: | かかる大理にくらき人は。名に據て義を求むる故に。 |
J09_0042A14: | 萬に一得なしと知るべし。又背徒の中に三心四修に |
J09_0042A15: | は別に奧深き吉水の秘傳あり。その秘傳を領解せざ |
J09_0042A16: | る人は。たとひ稱名相續すとも。本願に契はずと。僞 |
J09_0042A17: | る人もありけり。然れば。もし前段に。三心四修を |
J09_0042B18: | 具すれば必ず往生すなどど書かせ玉はばかの他人背 |
J09_0042B19: | 徒これを見て。さればこそ。大師も平生の昔は。機 |
J09_0042B20: | を見て假の方便に。安心作業を。やすやすと勸め玉 |
J09_0042B21: | ふ事も侍りしかども。末期の遺誓には。御眞實を顯は |
J09_0042B22: | して。必す三心四修を具せよと書置かせ玉へる上は |
J09_0042B23: | とて。いよいよ暗推僞濫の證據に取つて法に因て奸 |
J09_0042B24: | を作して三心四修を僻さまに勸むる人もあるべし。 |
J09_0042B25: | これによりて前段には。その邪説を防がれん爲に。 |
J09_0042B26: | かの他人背徒の。みだりに穿鑿して。或は甚深廣大 |
J09_0042B27: | なり。或は祕密の領解ありなど訇る。三心四修の |
J09_0042B28: | 名目を削りすてて。ただ疑なく往生するぞと思取て |
J09_0042B29: | 申す外には別の子細候はず。もし此外に奧深き事を |
J09_0042B30: | 存ぜば。二尊の憐にはづれんと。誓を立てて决定し |
J09_0042B31: | 玉ふ時。大師の御本意かくれなく顯れにしかば。か |
J09_0042B32: | の三心四修を。やすやすと勸め玉ふは。假の方便な |
J09_0042B33: | りと云へる暗推も。又別に奧深き領解ありなど云へ |
J09_0042B34: | る僞濫も。みな大師を誣奉つる詐なりとは。知れた |