浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0039A01: | 魔安心の怨敵なり。あひ構へて。行者よくよく用心 |
J09_0039A02: | して敬てこれを遠ざくべし。あへて馴れ親しむこと |
J09_0039A03: | なかれ。されば善導大師。二河白道の譬の中に西に |
J09_0039A04: | 向うて白道を行くこと一分二分すれば東の岸に羣賊 |
J09_0039A05: | 等あつて。喚で云く。この道は嶮惡なり過ぐること |
J09_0039A06: | かなはじ。必ず死なんこと疑なし。仁者回へり來れ |
J09_0039A07: | 我等すべて惡心にて。相向ふにはあらずと云ふ喩を |
J09_0039A08: | 擧けて。これは。別解。別行。惡見の輩が。詐り親し |
J09_0039A09: | みて。みだりに見解を説きてたがひに惑亂するに喩 |
J09_0039A10: | ふるなりと。釋し玉へるは是なり。行者その喚聲を |
J09_0039A11: | 聞くといへども。さらに顧みず。一心に直に進んで |
J09_0039A12: | 白道を念じて行くべしと。ねんごろに。すすめ玉ふぞ |
J09_0039A13: | かし。行者ふかく察すべし。すでに御遺誓の安心起 |
J09_0039A14: | 行に違ひぬる上は吉水の正義に外れて。淨土宗の本 |
J09_0039A15: | 意にはあらざりけりと。思ひ切て。耳にも聞き入れ |
J09_0039A16: | ず。更にわきめもふらず。願行具足の稱名を。决定 |
J09_0039A17: | 不退に相續すべし。一定と思へば一定。不定と思へ |
J09_0039B18: | ば。やがて不定となる。努力心をたぢろくべからず。 |
J09_0039B19: | 夫娑婆得道の修行は。有相の信願にては。悟りがた |
J09_0039B20: | し。定力なければ心みだれ。慧力なければ心くらき |
J09_0039B21: | 故なり。故に專ら定慧をはげまして。自力の斷證を |
J09_0039B22: | 求むる故に。たとひ念佛すれども。觀心參究を加へ |
J09_0039B23: | ざれば。悟を開き難ければ。他宗の修行に。理觀參 |
J09_0039B24: | 究を貴むは。勿論の事なり。さて淨土得生の修行は。 |
J09_0039B25: | それとは。はるかに替れり。自力の定慧の分にては。 |
J09_0039B26: | 報土得生の引業が成じがたければ。ひたすら。有相 |
J09_0039B27: | の信願をはげまして他力の引接を仰ぐなり。信心に |
J09_0039B28: | あらざれば。佛願に乘ぜず。願心にあらざれば。往 |
J09_0039B29: | 業を成ぜざる故なり。かれは得道。これは得生。所 |
J09_0039B30: | 求の標的が遙かに異なれば。能求の安心もまた遙 |
J09_0039B31: | かに別なりと云ふ理りを。よくよく思辨ふべし。さ |
J09_0039B32: | れば。得道の宗には。をのづから得道の法あり。得 |
J09_0039B33: | 生の宗には。をのづから得生の法ありて。道同じか |
J09_0039B34: | らざれば。相爲に謀らず。さるを。己己が執ずる所の。 |