浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0038A01: | いかにぞや。もし自力の執情をすてて。ひたすら他 |
J09_0038A02: | 力の引接を信じ。仰賴救我の願心を發起すれば。五 |
J09_0038A03: | 逆極重の惡人すら。臨終重心の十念に。諸罪消滅し |
J09_0038A04: | て。不思議に往生を許されたり。これみな行者の信 |
J09_0038A05: | 願の力なり。平生の行者は。重淨心こそ發らずとも。 |
J09_0038A06: | つねつね稱名の心の内に。仰賴の願心を相續し。行 |
J09_0038A07: | 住坐臥に心をかけて。想を西方に送り習はば。遲速こ |
J09_0038A08: | そあらめ。業成なんぞ疑はん。眞實に他力を賴むと |
J09_0038A09: | ならば。心にひしと思ひ取て。ひたすら賴み。念念 |
J09_0038A10: | に賴み奉るべし。その賴む心が。やがて淨土の引業 |
J09_0038A11: | となり唱ふる稱名に。惡趣の罪業自然に消えぬれ |
J09_0038A12: | ば。臨命終の時煩惱を具せりといへども。煩惱さらに |
J09_0038A13: | 現起せず。正念現前して。聖衆の來迎を感ず。これ |
J09_0038A14: | みな平生の恆所作によりて。增長せる願熏業種の |
J09_0038A15: | 力用にして。また阿彌陀佛の大願業力の御慈悲なり。 |
J09_0038A16: | されば善導大師は。我を哀愍覆護して。法種を增長 |
J09_0038A17: | せしめ玉へと。晝夜六時に發願せよとは勸玉へり。 |
J09_0038B18: | 然に。世の小黠人などは。觀心參究の片端を。ここか |
J09_0038B19: | しこ聞き覺えて。圓頓大乘の念佛は。かくこそあれ。 |
J09_0038B20: | これこそ眞實往生の念佛なりとて。無智の男女に對 |
J09_0038B21: | して。憍慢する輩もありとぞ。元より無智の男女は。 |
J09_0038B22: | 法門の是非を辨へざれば。これらの異見の人に親み |
J09_0038B23: | 馴れぬればいつとなく决定の安心を動亂破壞せられ |
J09_0038B24: | て。進みては觀心參究の念佛を行ずる力なく。退きて |
J09_0038B25: | は願行相續の稱名に疑をこりて。やうやく往生も不 |
J09_0038B26: | 定に覺えぬれば。進退ここに谷つて。兩端の岐に泣 |
J09_0038B27: | く人も。少なからずと。聞ゆる事。悲しからずや。 |
J09_0038B28: | 凡そ他宗の人などの。自身の往生の爲に。その宗に |
J09_0038B29: | 貴む所の安心をもて。念佛し玉はん事は。とかく。 |
J09_0038B30: | いろふべさ事にはあらず。もし觀心參究などの。他 |
J09_0038B31: | 宗の念佛を將來て。吉水大師も。これをこそ。本意 |
J09_0038B32: | など云ひ。或は願行相續の稱名は。無智の人の結縁 |
J09_0038B33: | の分なりなど語りて。念佛の男女を惑亂せば。これ |
J09_0038B34: | ぞ大師の防ぎ玉へる。滅後の邪義にして。念佛の邪 |