浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0037A01: | 解脱の機も熟し。時も至れる驗しなりと。歡喜踊躍 |
J09_0037A02: | して。行住坐臥を論ぜず。心には助け玉へと思うて。 |
J09_0037A03: | 口に南無阿彌陀佛と申て。願行具足の稱名を相續し |
J09_0037A04: | て。しつかに聖衆の來迎を待ちたてまつるべきなり |
J09_0037A05: | 又御在世の時より。滅後の今に至るまで。他宗の學 |
J09_0037A06: | 者の中に。暗推の異見を起す人ありて。吉水も御心 |
J09_0037A07: | 中には。觀念理持の念佛などをこそ。順次解脱の本 |
J09_0037A08: | 意とは思しつれども。それに叶はざる。無智の男女 |
J09_0037A09: | を愍みて。暫く有相著相の。かろき稱名。あさき安 |
J09_0037A10: | 心を勸めてかりに淨土の遠縁を結ばしめ玉ふにてこ |
J09_0037A11: | そあれ。少も心黠からん人は。いかにもして。觀念理 |
J09_0037A12: | 持などの甚深なる念佛を修行して。順次の往生を求 |
J09_0037A13: | めよと勸めし人も有りけりと聞ゆめり。今の世にも |
J09_0037A14: | かかる人は。觀心念佛。或は參究念佛或は死心攝心。 |
J09_0037A15: | の念佛などこそ。功德甚深の行なりとて。願行相續 |
J09_0037A16: | の稱名の行者を。輕しめ驚かしけるとぞ。夫觀心參究 |
J09_0037A17: | の心にて。念佛する人は。念佛の時に當りて。仰賴 |
J09_0037B18: | 救我の思願を發すまじければ。此もまた往生の爲に |
J09_0037B19: | は有行無願の失にや近からん。縱ひ觀心參究の後に。 |
J09_0037B20: | わづかに往生極樂に廻向すとも。その廻願の心が。慇 |
J09_0037B21: | 重相續せざる故に往生の引業が熟し難かるべし。さ |
J09_0037B22: | れば善導大師雜修の過失を數多擧げ玉ふ中に。廻願 |
J09_0037B23: | 慇重眞實ならざる故にと。嫌ひ玉へるは是なり。但 |
J09_0037B24: | しその身に惡趣の繫業もかろき。上根極善の人なら |
J09_0037B25: | ば。重淨心の廻願をも。發起すべければ。一念の廻 |
J09_0037B26: | 向にも。往生の業種を圓滿する人。なきにしもあら |
J09_0037B27: | じ。さりながら。上代は。さる人も多かるべけれど。 |
J09_0037B28: | 末代の衆生には。重淨心の機は甚だ希なれば。恆所 |
J09_0037B29: | 造ならでは。作業は成じがたし。况や當世を見るに |
J09_0037B30: | 多くはみな。十惡の罪人なり。日日夜夜の三業のふ |
J09_0037B31: | るまひをおもふに。みな三惡道に繫屬せずと云ふ事 |
J09_0037B32: | なし。かかる身にては。いかに觀心參究の念佛を學 |
J09_0037B33: | ぶとも。自力の定慧の分にては。惡道の引業も。た |
J09_0037B34: | やすくは滅すべからず。まして極樂報土の往生は。 |