浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0036A01: | 口が業を成ぜばこそあらめ。意業によりて業を成ず |
J09_0036A02: | と云へば。心には助玉へとも思はぬに。口にのみ南 |
J09_0036A03: | 無と云はんは。徒事なるに非ずや |
J09_0036A04: | 又有人は。佛は。念佛申さん人を助けずは正覺を取 |
J09_0036A05: | らじと誓ひて。すてに正覺を取らせ玉へば。念佛の行 |
J09_0036A06: | 者をば。必ず佛の方より助け玉ふべき道理。既に極ま |
J09_0036A07: | りぬ。行者はひたと念佛申すまでなり。さらに行者 |
J09_0036A08: | の方より。助玉へと願はんは。本願の心を知らざる人 |
J09_0036A09: | なり。往生を疑ふ人なり。ただ本願にまかせて。無念 |
J09_0036A10: | 無想になる樣に。ひたと申すまでなり。助け玉へと思 |
J09_0036A11: | ふべからず。思へばすなはち別の子細に落つるなり |
J09_0036A12: | と勸むる輩もあり。夫本願に欲生我國乃至十念とは |
J09_0036A13: | 侍らずや。その欲生を。佛は廻向發願心なりと説き玉 |
J09_0036A14: | ふ。此願心が聲に出て。南無とは唱ふ。天竺の南無は。 |
J09_0036A15: | 震旦の救我なり。あに吾朝の助け玉へにあらずや。 |
J09_0036A16: | されば。助玉へと思うて。乃至十念すべしとこそ侍 |
J09_0036A17: | るに。助け玉へと思ふを嫌はんは。すでに本願の安 |
J09_0036B18: | 心をやぶる人なり。まことに恐るべし。又その無念 |
J09_0036B19: | 無想と心えたるは。みな無記の妄念なり。あやまつ |
J09_0036B20: | て無記の妄念を執じて。かへりて往生の大事とすす |
J09_0036B21: | むる。善願の正念を嫌はんは。本願にもそむき。業 |
J09_0036B22: | 道にもはづれたる。無智蒙昧の義ならずや。これもま |
J09_0036B23: | た有行無願の邪義に墮せり。これいまだ淨土の經釋 |
J09_0036B24: | を學ばず。願行相續の故實を知らざる人が。禪者など |
J09_0036B25: | の念佛は妄念を掃ふ箒なりとて。無想死心に申すを。 |
J09_0036B26: | 聞き羨みて。往生の爲にも。好きことならんと思ひ |
J09_0036B27: | 違ひけるより。滅後の邪義には落ちにけるならん。 |
J09_0036B28: | 上來の新義は。或は願なく。或は行なく。或は願行 |
J09_0036B29: | ともになく。また相續もなければ。ことごとく願行 |
J09_0036B30: | 相續の宗義に背馳せる。在世滅後の邪義なり。誠に |
J09_0036B31: | 逢ひがたき佛願に逢ひ奉つる。かひもなく。順次の往 |
J09_0036B32: | 生しはづして。なを六道に滯らん事。痛ましからず |
J09_0036B33: | や。然に。我等いかなる宿善にか催されて。幸に願 |
J09_0036B34: | 行相續の稱名の行者とはなりにけん。疑なく。順次 |