浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0035A01: | 所歸の佛を行とする故に。歸佛の一念に。願行具足 |
J09_0035A02: | するを。本願の念佛と名く。あに無行の失に墮せん |
J09_0035A03: | やと訇る輩もあり。夫所歸の佛身があればこそ。能 |
J09_0035A04: | 歸の念をば。おこせ。されば所歸を能歸に合せて。た |
J09_0035A05: | だこれ歸命にして。またこれ發願なれば。ことごと |
J09_0035A06: | く安心なり。然に稱名の行を挾まざる故に。猶廻向 |
J09_0035A07: | の義をさへ闕きたり。なんぞ無行の責をのがれんや。 |
J09_0035A08: | 或は又。この歸佛の一念を。往生の引業として。こ |
J09_0035A09: | の上に諸行を修して。滿業とする故に。願行具足せ |
J09_0035A10: | りと云ふ輩もあり。これはかへりて。雜行雜修の失 |
J09_0035A11: | に墮ちて。專修專念の正宗を失へり。なんぞ論ずるに |
J09_0035A12: | 足らんや。その上本願念佛はただ引業とのみ成りて。 |
J09_0035A13: | 滿業の功德なしと。おもへる事。その咎ますます甚 |
J09_0035A14: | し。これみな本願の念佛を。稱名にはあらずと。思ひ |
J09_0035A15: | 違へる邪執より。事をこりて。種種の戯論には及べ |
J09_0035A16: | るなり |
J09_0035A17: | 又昔し成覺房の意は。最初發心稱名の一念に。願行 |
J09_0035B18: | 具足するゆゑに。立どころに淨業圓滿して。即便往 |
J09_0035B19: | 生し畢ぬ。已に極樂の聖衆と成て。不退轉を得たり。 |
J09_0035B20: | 此後さらに何事を求めてか。また稱名をも勵み。願 |
J09_0035B21: | 行をも運ばんや。もし此上なを助玉へとも願ひ。又 |
J09_0035B22: | 稱名をも勵まん人は。これ一念往生の本願を信ぜざ |
J09_0035B23: | る。疑惑の人なれば。いかに稱名相續すとも。往生契 |
J09_0035B24: | ふべからずと立てて。願行相續の行者を誹り嫌へり。 |
J09_0035B25: | これは無間修。長時修の作業みな闕けぬれば。全く |
J09_0035B26: | 無願無行の失に墮せる。懈怠退轉の邪義なり |
J09_0035B27: | 又有人は。南無と云ふ言が。すなはち發願廻向なれ |
J09_0035B28: | ば。心に助玉へと思はねども。口に南無阿彌陀佛とだ |
J09_0035B29: | にも申せは。願行具足の稱名なり。なんぞ煩しく。 |
J09_0035B30: | 助玉へと思はんやと。勸めし輩もあり。これは正し |
J09_0035B31: | く有行無願の邪義に墮せり。夫云ふ言に。思ふ心は |
J09_0035B32: | 顯るるを。心に思ふを安心と名け。口に出るをば起 |
J09_0035B33: | 行に屬せり。もし思はぬ事を。心に違ひて。口に語 |
J09_0035B34: | るはこれ妄語なり。佛をすかし奉るにあらずや。身 |