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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0028A01: せんとはげみ習ふべきなり。大師の云稱名の時心に
J09_0028A02: 思ふべき樣は。人の膝などを引動かして。や。助玉へ
J09_0028A03: と云ん定なるべしと。されば御念佛の時の御氣色も。
J09_0028A04: その樣に見え玉ひしなりと。聖光上人も石川禪門も。
J09_0028A05: 申されけるとなん。これぞ實の歸命想の念佛にし
J09_0028A06: て。願行相續の手本なるべし。あひかまへて。行者
J09_0028A07: 眼を著て。自から懈怠を顧りみ。大師の御行跡に倣
J09_0028A08: ひ奉るべきをや。げに朝夕禮時の念佛にも。六字を
J09_0028A09: 慥に唱へて。高からず低からず。速からず遲からず。
J09_0028A10: 願行相續して。久く申す時にぞ。自然に稱名の音も
J09_0028A11: すみわたりて。心にたふとしと聞に。三業ひとしく
J09_0028A12: 進みて。身も安樂なれば。心ものうからず。一時半
J09_0028A13: 時を過るは。つかのまの程にて。さながら罪障も消
J09_0028A14: えぬる心地して胸の内打はれて。覺ゆらんは。賴し
J09_0028A15: きには侍らずや。上來は。時時佛前の稱名に付て。
J09_0028A16: 恭敬修の念佛并に用心念佛の行儀を申し述ふるなり
J09_0028A17: 扨又無間長時の日所作の稱名は。恆所造に業を成ず
J09_0028B18: る行なれば。心の亂不亂をもえらばず。口に稱名相
J09_0028B19: 續するを肝要として。おりおり心に助玉へと思ひ出
J09_0028B20: すべし。かくは用心すれども行住坐臥の所作なれば。
J09_0028B21: 歷縁對境にまぎれて。忘れがちなるをば。いかがは
J09_0028B22: せん。先その日の念珠に取向はん時。ねんごろに發
J09_0028B23: 願し畢りて。くり初め。それより終日。しばしば心
J09_0028B24: にかけて。稱名の息の下には。助玉へと思ひ習ふべ
J09_0028B25: し。又つまぐる數珠の母珠に至る度ごとには。一心
J09_0028B26: に助玉へと廻願すべし。扨日課を。くりはてて後は。
J09_0028B27: いかなる處にても。つと西に向て。終日の念佛を。
J09_0028B28: 自他往生極樂の爲に。ねんごろに廻向すべきなり。
J09_0028B29: 夫妄念もしなじなに分れて。をのづから許されたる
J09_0028B30: もあり。又許されざるも有なり。許されたる任運妄
J09_0028B31: 念をば。發らばおこれと打すてて。ただ助玉へと思
J09_0028B32: ひ返すべし。もし許されざる卒起决定貪瞋が。競ひ起
J09_0028B33: ると覺えん時には。やがて慚愧して。一心に南無阿
J09_0028B34: 彌陀佛と申すを。隨犯隨懺の念佛とは云なり。たす

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