浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0029A01: | け玉へと思ふ時。妄念はおこちず。妄念おこる時。 |
J09_0029A02: | たすけ玉へを忘る。されども願行相續の意樂に住す |
J09_0029A03: | る程の人は。妄念おこるとしる時。やがて助玉へと |
J09_0029A04: | 思ひ返すゆへに。念佛は常に主人となりて。妄念はい |
J09_0029A05: | つも客人となれば往生の障とまではならず。等起の |
J09_0029A06: | 思が。よく善惡の業を成ずといへば。意樂を以て主人 |
J09_0029A07: | とすべし。刹那の妄念は。業を成ぜずといへば。念 |
J09_0029A08: | 念生滅の任運無記の妄念は。みな客人にして。散地 |
J09_0029A09: | の凡夫の心の癖なり、あへて念佛の業道を碍ぐるこ |
J09_0029A10: | と能はず。既に凡夫往生を許す。何ぞ妄念を嫌はん |
J09_0029A11: | やと。蓮華受生の宗門には不思議にこれを許された |
J09_0029A12: | るぞ。忝なき。さりながら。もし願行相續の宗義に |
J09_0029A13: | 背き。隨犯隨懺の故實を忘れて。一向に他力の出離 |
J09_0029A14: | には。貪瞋惡業も。苦しからずなど思ふ。意樂邪見 |
J09_0029A15: | の輩は。故起の貪瞋をも恐れず。接續の妄念をも愼ま |
J09_0029A16: | ざるべければ。貪瞋きをひおこれども。おこるとだ |
J09_0029A17: | にもしらで。ひたと。それのみ思ひつづけ。又貪瞋 |
J09_0029B18: | おこるとしる時も。本より慚愧の心なければ。やが |
J09_0029B19: | て助玉へと思かへす隨犯隨懺の心も有じければ。妄 |
J09_0029B20: | 念が常に主人なりて。念佛はいつも客人となれる |
J09_0029B21: | なるべし。さらずは。一亭にふたりの主人ありと |
J09_0029B22: | やいはん。されば古德も。すべて罪をかへりみぬ者 |
J09_0029B23: | は。身の惡き事をしらず。身の惡き事を忘れぬれば。 |
J09_0029B24: | また助玉へと思ふ心もなし。助玉へと思ふ心を。すす |
J09_0029B25: | めん爲にも。ことに罪業を恐るべきなり。と云へり仰ぎ |
J09_0029B26: | 願くは。念佛の行人。たれたれもはやく。正見の意樂 |
J09_0029B27: | に住して。心の及ばん限り。いたく貪瞋罪業を恐れ。 |
J09_0029B28: | つねづね稱名の時には。助玉へと。心にも思ひ。口 |
J09_0029B29: | にも云ひ習ふべし。心は習はしの物なれば。習ひつも |
J09_0029B30: | りて性となれば。自然にやすく願行は相續せらるべ |
J09_0029B31: | きぞかし。實に今度生死をはなれて。必ず淨土に往 |
J09_0029B32: | 生せばやと。思切てん人は。いかにもして。世の習 |
J09_0029B33: | 俗に移されず。ひたすら。兩祖三代の芳躅を尋ねて。 |
J09_0029B34: | 安心も起行も進む方に赴くべし。ゆめゆめ邪解の同 |