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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0027A01: 師に敎へられ。或は惡友に誘はれ或は世の習俗に移
J09_0027A02: さるる故なるべし。或は妄念を許されたる意を。僻さ
J09_0027A03: まに料簡して。己が得方に取なして。惡意樂に住す
J09_0027A04: る心より。ただ妄念にのみ打まかせて。助玉への願
J09_0027A05: 心を。をこたる身と成なれば。これみな行者の機の
J09_0027A06: 失にして。念佛の行の失にはあらず。散心の凡夫の
J09_0027A07: ために。佛はさりともと御思惟ましまして。いかな
J09_0027A08: る人も。自然に願行具足しやすき樣に。誓はせ玉へ
J09_0027A09: る本願の念佛なれば。大師も特に念佛には不廻向の
J09_0027A10: 得ありと。讃歎し玉ひけるも。かかる人に逢ひぬれば
J09_0027A11: 名の下に實なくなり侍るぞ。悲しきや。たとひ願心
J09_0027A12: 相續の人の上にも。願心の強きは。滅罪も多ければ。
J09_0027A13: 業成もはやく。願心の弱きは。滅罪も少ければ。業
J09_0027A14: 成もをそしとこそ見たれ。されば善導大師は。晝夜
J09_0027A15: 六時強發願持心不散業還成とこそ勸め玉ひけるも
J09_0027A16: のを。願くは西方の行者。うまく此意を會得して。朝
J09_0027A17: 夕など佛前に參りて念佛せん時には先ねんごろに。
J09_0027B18: 願行相續の誓願をおこして。さて申し始むべし。か
J09_0027B19: くの如く用心する人は。一座の念佛の間には。故な
J09_0027B20: る貪瞋妄念をば發すまじければ。これ意樂正見の得
J09_0027B21: ならずや。さりながら凡夫の心の癖なれば。いつのま
J09_0027B22: に。おこるともなき。串習の妄念をば。いかがはせん。
J09_0027B23: ただおこると知る時。助玉へと思ひ返すまでなり。
J09_0027B24: 知て隨はざるも。また意樂正見の功なり。常にかく
J09_0027B25: 申しならへば。かの名號の德として自然に妄念もや
J09_0027B26: むぞと。仰られし。大師の御詞も。驗し覺えて。いよ
J09_0027B27: いよ妄念の中の息妄の行に心もいさむべきぞかし。
J09_0027B28: かく正見の意樂に住する人は覺えず知らず。妄念と
J09_0027B29: ともに。打まじへたる念佛までも。前後の發願廻向に
J09_0027B30: 引かれてことごとく往生の業となるぞとなり。但し
J09_0027B31: 同じ往生の業となるが中にも。論藏の意によれば。願
J09_0027B32: と倶なる行は。その力つよければ。引滿二業となり。
J09_0027B33: 願と倶なはざる行は。その力よはければ。ただ滿業と
J09_0027B34: なるべしとも見えたれば。とにもかくにも。願行相續

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