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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0026A01: かけて。願行相續せんと勵むべきなり。
J09_0026A02: 然るに。世間の男女の中に。一向に妄念苦しからず
J09_0026A03: とのみ心えてたまたま佛前に參りて申す。恭敬修の
J09_0026A04: 念佛にも。口には名號を唱へながら。心の内には。
J09_0026A05: あらぬ事のみ思ひつづくれども。助玉へと。思かへす
J09_0026A06: 程の志ある人もまれなるにや。又たまたま。まめや
J09_0026A07: かに願行具足のために。六字分明に句句相續して。
J09_0026A08: 一心精進に申す人あれば。かれは自力の念佛なり。
J09_0026A09: いまだ他力の安心をしらずなど。笑そしる人もあり
J09_0026A10: とぞ。これ實に愚癡の案。極めたる僻事なり。誹法
J09_0026A11: 毀人の罪も。げに輕かるまじとこそ覺ゆれ。すべて
J09_0026A12: 他力の安心を知がほにして。自らも損ない。人をも
J09_0026A13: 損なふ輩。僧俗の中。世間に多く聞ゆる事。悲か
J09_0026A14: らずや。かく心えてん人は。念佛申す時。憚なく妄
J09_0026A15: 念をのみ思ひ續くべければ。百返の稱名の頃にも。
J09_0026A16: 一願二願をだに。發さざる人なるべしやと。推量ら
J09_0026A17: れたり。否なりや。自ら省みて試み玉へ。然らば。
J09_0026B18: 光明大師の。十聲佛を稱れば。十願十行有て具足す。
J09_0026B19: 斯義を以の故に。必ず往生を得と。げにゆゆしげに
J09_0026B20: 釋し玉へるをば。いかが心えてんや。すべて念佛の
J09_0026B21: 功德にて。當來淨土の報身を受る事は。ただ助玉へ
J09_0026B22: と思ふ。發願廻向の心が。如來の本願にも相應し淨
J09_0026B23: 土の業種ともなりて。往生の引業を成ずる故なるぞ
J09_0026B24: かし。凡そ觀心參究のめでたき念佛をも。往生の爲
J09_0026B25: には。踈雜の行におさめて。嫌ひ玉へる事も。その
J09_0026B26: 念佛の心の内に。仰賴救我の願心が間斷して。相續
J09_0026B27: せざるによりて。彌陀の本願にも相應せず往生の引
J09_0026B28: 業をも熟しがたき故なり。凡そ念佛諸行を論ぜず。
J09_0026B29: 淨土の引業には。みな廻向發願の心を本とす。この
J09_0026B30: 故に。往生の行の中には。願の一字。衆妙の門なり。
J09_0026B31: されば鎭西は淨土宗はこれ願宗也との玉へり。願心
J09_0026B32: の忽緖なるまじき理。かくの如し。それ雜行の行者
J09_0026B33: の願心に疎なるは行の失なり。念佛の行者の願心を
J09_0026B34: 怠るは機の失なり。機の失は何よりおこる。或は惡

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