ウィンドウを閉じる

J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0024A01: と兼備はり。この安心起行を。日日懈らず相續する
J09_0024A02: を。作業とは云なり。然れば。對治門の日は。説必次第
J09_0024A03: に釋すれば。その言ひろく。各別の樣にて。ことこと
J09_0024A04: しく聞ゆれども。修行門の時は。法在同時に行じて。
J09_0024A05: 更に煩しき事なければ。智あるも。愚なるも。かはる
J09_0024A06: 所なきを。易行の念佛とは名くるなり。まさに知べ
J09_0024A07: し。この一枚起請は。ただこれ往生禮讃の結歸一行三
J09_0024A08: 昧の口訣なりと。されば。源空が目には。三心五念四
J09_0024A09: 修。みな南無阿彌陀佛と見ゆるなりと。聖光上人に授
J09_0024A10: け玉ひける。大師の口訣も。正しく此文に顯れたり。
J09_0024A11: 然れば。此段は善導大師。御勸化の至極にして。念
J09_0024A12: 佛衆生の心行作業の龜鑑なり。もとも仰信すべし
J09_0024A13: 又此段安心起行の所詮は。また善導大師の觀經玄義
J09_0024A14: の中の。願行具足の御釋によりて。ただ南無阿彌陀
J09_0024A15: 佛の六字の意を開示し玉へり。もとも念佛の行者の
J09_0024A16: 大切なる用心なり。よくその意を明らむべし。今か
J09_0024A17: の玄義の御釋を引て。此文を對註して。くはしくそ
J09_0024B18: の義を明すべし
J09_0024B19: 玄義云。今此觀經中。十―聲稱佛。即有十願十行
J09_0024B20: 具足。これは。此段の南無阿彌陀佛の六字に。願行具足する事を標す
J09_0024B21: 云―何具足。言南無者。即是歸命。亦是發願廻向之
J09_0024B22: 義。これは。此段の。ただ往生極樂のためと思ひて南無と申す心には。ただたすけ玉へと持たるればこれ歸命にして。また發願廻
J09_0024B23: 向なり
J09_0024B24: 言阿彌陀佛者。即是其行。これは。阿彌陀佛の四字は。正しく所歸の佛の名號にして。
J09_0024B25: 稱名すなはち往生の行なる事を示す
J09_0024B26: 以斯義故。必得往生。これは。此段に。疑なく往生するぞと思取てと云は。願行具足せる
J09_0024B27: 本願の念佛なるゆへに。必得往生の大利益ありと。信ずる心なり
J09_0024B28: 此御釋の意は。天竺の人の南無と云ふ詞を。唐には
J09_0024B29: 歸命とも翻じ。救我とも譯す。我朝にはたすけたま
J09_0024B30: へと譯せり。されば大師の云南無阿彌陀と云ふは。
J09_0024B31: 別したる事には思ふべからず。阿彌陀ほとけ。我を
J09_0024B32: たすけ玉へと。云ふ言と心えて。心には阿彌陀ほと
J09_0024B33: け助け玉へと思ふて。口には南無阿彌陀佛と唱ふる
J09_0024B34: を。三心具足の名號と申なり。と云へり天竺と日本と。

ウィンドウを閉じる