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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0023A01: 往生なにをか危ぶまん。又八識にだにも熏習しつれ
J09_0023A02: ば。やがて往生極樂の業種と成なり。それより念念
J09_0023A03: 聲聲ごとに。この業種を增長すれば。機根の上下
J09_0023A04: によりて。もしは平生にまれ。もしは臨終にまれ。
J09_0023A05: 疾くも遲くも。ついに必ず能引能滿の業種を。究竟圓
J09_0023A06: 滿したる時を。業事成辨の人とは名く。これみな。
J09_0023A07: 佛願他力の增上縁の致す所なり。もし疑ひて往生を
J09_0023A08: 不定と思へば。思ふが如く不定なり。本願にも叶は
J09_0023A09: ず。業種をも熏せざる故なり。されば。萬法みな一
J09_0023A10: 心の所作なれば。ただ决定不退の深信を發起して。
J09_0023A11: つねに歡喜念佛し。我往生は一定なりと思取れば。
J09_0023A12: 一定往生するぞとなり。此對譯の意を明らめて。此一
J09_0023A13: 段は。實に大師の御私にはあらず。ただ念佛往生の
J09_0023A14: 本願なりけりと。ふかく仰きて信心を决定すべし
J09_0023A15: 又此段は。善導大師の玄義の御釋によりて。淨土經
J09_0023A16: の經體と經宗とを擧げて。その經宗に付て。往生禮讃
J09_0023A17: に勸玉へる。安心と起行と作業との極要を述べつく
J09_0023B18: し玉へり。觀經玄義に。此經は。念佛を宗とし。往生
J09_0023B19: を體とすと釋せり。その宗と云は因なり。體と云は
J09_0023B20: 果なり。此段に。ただ往生極樂の爲にはとの玉ふは。
J09_0023B21: これ淨土の果報にて。淨土經の體と期する所なり。南
J09_0023B22: 無阿彌陀佛と申と。の玉ふは。これ往生の行因にて。
J09_0023B23: 淨土經の宗と貴む所なり。玄義には。宗を先に。體
J09_0023B24: を後に擧玉へるを。此段には。まづ經體を擧玉ふ。こ
J09_0023B25: れまた滅後の邪義を防玉ふ立言の妙なり。扨往生禮
J09_0023B26: 讃に三心五念四修を勸めて。ついに一行三昧に結歸
J09_0023B27: し玉へり。今此段に。南無阿彌陀佛と云は起行なり。
J09_0023B28: 五念門も此内に含めり。疑なく往生するぞと思取
J09_0023B29: と云は。安心なり。三心此内に籠れり。次に思取て
J09_0023B30: 申す。と云ふは。かく思ひ定めてん上は。ひたと申
J09_0023B31: より外に。別の事なしと云ふ心にて。これ相續の作
J09_0023B32: 業なれば。四修此内に攝まれり。但しこの心行作業の
J09_0023B33: 三は。各別に行ずる法にはあらず。ただ疑なき心に。
J09_0023B34: 助玉へと思うて南無阿彌陀佛と申す時。安心と起行

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