浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0021A01: | に立還て。ただ一向に願行具足の念佛を相續すべし |
J09_0021A02: | と。結勸し玉へるなり。かくの如く見れば。一編の |
J09_0021A03: | 文段。脉絡貫通し。文に歸趣ありて。意味窮りなし。 |
J09_0021A04: | 然れば。前後の諸段は。みな此一段の爲なれば。た |
J09_0021A05: | だ此一段のみ。實に篇中の骨髓なり。行者ふかく愛 |
J09_0021A06: | 敬すべし。等閑に看過すべからず。今詳かに釋すべ |
J09_0021A07: | し。繁を厭ふ事なかれ |
J09_0021A08: | 次に遮表の意を云はば。先他宗の得道の爲の安心起 |
J09_0021A09: | 行に簡び。且往生の爲の雜行に簡ばんために。唯往生 |
J09_0021A10: | 極樂の爲には等との玉へり。唯の字は往生と起行と |
J09_0021A11: | 安心とに繫れり。又前段に。觀念の念にもあらずと |
J09_0021A12: | 遮ひ玉ふが故に。此段に。南無阿彌陀佛と申す稱名 |
J09_0021A13: | なりと。起行の體を表はし。又前段に。念の心をさ |
J09_0021A14: | とるにもあらずと遮ひ玉ふが故に。此段に。疑なく |
J09_0021A15: | 往生するぞと思ひ取までの無解の信願なりと。安心 |
J09_0021A16: | の體を表はし玉へり |
J09_0021A17: | 又此一段の文は。大師平生しばしば深心を釋し玉ひ |
J09_0021B18: | ける中の肝要の法語なり。されば黑谷語燈錄に數徧 |
J09_0021B19: | 載らるる。深心の御釋の中に。同じ樣なる法語すで |
J09_0021B20: | に四箇所に及べり。かの叮嚀の御釋を見て。ますます |
J09_0021B21: | 此段の大切なる事を思ふべし。誠に平生の御勸化よ |
J09_0021B22: | り。末期の御遺誓に至るまで。安心起行のをもむき。 |
J09_0021B23: | 始終一般にして。毫髮の違ひなき事。あに賴しから |
J09_0021B24: | ずや。よくよく此の段を信得して。ゆめゆめ異見に |
J09_0021B25: | まどふ事なかれ。扨かの深心の御釋と云は。語燈錄 |
J09_0021B26: | に云 |
J09_0021B27: | 煩惱の薄き厚きをも顧みず。罪障の輕き重きをも論 |
J09_0021B28: | ぜず。心に往生せんと思て。口に南無阿彌陀佛と申 |
J09_0021B29: | て。聲に付て决定往生の思をなすべし。その决定の |
J09_0021B30: | 心によりて。往生の業は。すなはち定まるなり。不 |
J09_0021B31: | 定と思へば。やがて不定なり。一定と思へば。やが |
J09_0021B32: | て一定するなりと云へり |
J09_0021B33: | 此の法語を。此段の文に引合せて。心を留めて思ふべ |
J09_0021B34: | し。但しかの法語には。具さに本願の文を譯し。此 |