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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0021A01: に立還て。ただ一向に願行具足の念佛を相續すべし
J09_0021A02: と。結勸し玉へるなり。かくの如く見れば。一編の
J09_0021A03: 文段。脉絡貫通し。文に歸趣ありて。意味窮りなし。
J09_0021A04: 然れば。前後の諸段は。みな此一段の爲なれば。た
J09_0021A05: だ此一段のみ。實に篇中の骨髓なり。行者ふかく愛
J09_0021A06: 敬すべし。等閑に看過すべからず。今詳かに釋すべ
J09_0021A07: し。繁を厭ふ事なかれ
J09_0021A08: 次に遮表の意を云はば。先他宗の得道の爲の安心起
J09_0021A09: 行に簡び。且往生の爲の雜行に簡ばんために。唯往生
J09_0021A10: 極樂の爲には等との玉へり。唯の字は往生と起行と
J09_0021A11: 安心とに繫れり。又前段に。觀念の念にもあらずと
J09_0021A12: 遮ひ玉ふが故に。此段に。南無阿彌陀佛と申す稱名
J09_0021A13: なりと。起行の體を表はし。又前段に。念の心をさ
J09_0021A14: とるにもあらずと遮ひ玉ふが故に。此段に。疑なく
J09_0021A15: 往生するぞと思ひ取までの無解の信願なりと。安心
J09_0021A16: の體を表はし玉へり
J09_0021A17: 又此一段の文は。大師平生しばしば深心を釋し玉ひ
J09_0021B18: ける中の肝要の法語なり。されば黑谷語燈錄に數徧
J09_0021B19: 載らるる。深心の御釋の中に。同じ樣なる法語すで
J09_0021B20: に四箇所に及べり。かの叮嚀の御釋を見て。ますます
J09_0021B21: 此段の大切なる事を思ふべし。誠に平生の御勸化よ
J09_0021B22: り。末期の御遺誓に至るまで。安心起行のをもむき。
J09_0021B23: 始終一般にして。毫髮の違ひなき事。あに賴しから
J09_0021B24: ずや。よくよく此の段を信得して。ゆめゆめ異見に
J09_0021B25: まどふ事なかれ。扨かの深心の御釋と云は。語燈錄
J09_0021B26: に云
J09_0021B27: 煩惱の薄き厚きをも顧みず。罪障の輕き重きをも論
J09_0021B28: ぜず。心に往生せんと思て。口に南無阿彌陀佛と申
J09_0021B29: て。聲に付て决定往生の思をなすべし。その决定の
J09_0021B30: 心によりて。往生の業は。すなはち定まるなり。不
J09_0021B31: 定と思へば。やがて不定なり。一定と思へば。やが
J09_0021B32: て一定するなりと云へり
J09_0021B33: 此の法語を。此段の文に引合せて。心を留めて思ふべ
J09_0021B34: し。但しかの法語には。具さに本願の文を譯し。此

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