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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0020A01: 背宗の贋徒出できて。新たに心念歸命の念佛など云
J09_0020A02: へる。種種の邪義を企てて。本願の念佛は稱名にはあ
J09_0020A03: らずと嫌ひ。又僻さまなる安心をかまへ。私の領解を
J09_0020A04: 勸めて。これこそ吉水の内證深奧祕密の口傳なれ。願
J09_0020A05: 行相續の稱名は。大師の外儀の方便なり。御眞實には
J09_0020A06: あらずと訇りて。無智の男女に。大師の御心を疑はし
J09_0020A07: めたり。御在世の時。はやすでにかく有りければ。滅
J09_0020A08: 後はさぞと。なげき思しめされし故に。まづ此の段
J09_0020A09: に。かの背徒の立つる。心念の念佛を。觀念の内に
J09_0020A10: 攝め。領解の安心を。念の心をさとりての内に攝め
J09_0020A11: て。ことごとくそれには非ずと揀ひすてて次の段に。
J09_0020A12: 御心中の願行相續の稱名の正義を示し。更に御誓言
J09_0020A13: を加へて。背徒の新義はみな僞なり。我口傳にはあ
J09_0020A14: らず。信用する事なかれと云ふ意を示して。男女の
J09_0020A15: 疑を。明白に破り玉へり。されば此の段にまづ非義を
J09_0020A16: えらびて。次の段に正義をあらはし。あまさへ起請
J09_0020A17: 文を書のせ玉へば。遮表具足し。决斷至極せり。いか
J09_0020B18: なる滅後の邪僞奸詐の人なりとも。此の文に向て。
J09_0020B19: またいかに。吾大師を誣ひ奉つらんや。然れば。遮表
J09_0020B20: 兼ね記るされけるは殊に御慈悲の濃なるにこそ。
J09_0020B21: ○願行相續の正義を示す。第二段
J09_0020B22: 唯往生極樂の爲には南無阿彌陀佛と申て疑なく
J09_0020B23: 往生するぞと思ひ取て申外には別の子細候はす
J09_0020B24: 此の段は。遺誓一編の骨髓にして。淨土一宗の肝要
J09_0020B25: なり。心をふかめて。これを思ふべし。前後の諸段
J09_0020B26: はみな此の一段の爲の設けなり。その故は。前段に。
J09_0020B27: 觀念の起行と。學解の安心とを遮ひ玉へる事は。此段
J09_0020B28: の無解稱名の宗骨を表はさんためなり。次の段に。三
J09_0020B29: 心四修も此内に籠り候との玉へるも。此の一段の内
J09_0020B30: に。みな備はるとの意なり。又その次の起請文も。此
J09_0020B31: の一段の安心起行の外に。別の奧深き事を存玉はず
J09_0020B32: との御誓言なり。又その次に。智をすて愚に還りてた
J09_0020B33: だ一向に念佛すべしとの玉ふも。ただ往生極樂の爲
J09_0020B34: ならば。初段の觀念學解をば捨て。此段の無解稱名

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