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J1320 吉水遺誓諺論 忍澂 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0019A01: づ此段に。觀念の念にもあらずと書玉ひて。總じて口
J09_0019A02: 稱にあらざる心念の念佛をば。他宗と背宗と邪正は
J09_0019A03: 異なれども。みな觀念の内に攝めて。ことごとく。そ
J09_0019A04: れにはあらずと揀び盡し玉へり。次に安心と云は。
J09_0019A05: 稱名の心遣なり。これにまた學解の安心と。信願の
J09_0019A06: 安心との紛あり。その中に本願念佛の安心は。唯た
J09_0019A07: すけたまへと思て。疑なく往生するぞと思取までの。
J09_0019A08: 無解信願の安心なりと云事を。决定せられん爲に。ま
J09_0019A09: づ此段に。學問をして念の心を解りて申すにもあら
J09_0019A10: ずと書玉ひて。總じて。信願にあらざる學解の安心
J09_0019A11: をば。他宗と背宗と邪正は異なれども。みな念の心を
J09_0019A12: さとる學解の内に攝めて。ことごとく。それにはあ
J09_0019A13: らずと。揀び盡し給へり。是より段段正宗にも流通
J09_0019A14: にも。みなこの起行と安心とを。くり返して决判し
J09_0019A15: たまへり。心をとどめて。こまかに全篇を窺がふべ
J09_0019A16: し。
J09_0019A17: 問て云く。いかなる御意なれば。初より安心起行の
J09_0019B18: 正義を直に示し玉はず。まづ他人背徒の安心起行を
J09_0019B19: ば揀び玉ふぞや。答て云く大師御在世の時他宗の學
J09_0019B20: 者の中に。ひそかに暗推を回らす人出できて。大師も
J09_0019B21: 眞實には觀念理持の甚深なる念佛をこそ。本意と思
J09_0019B22: しめされしかども。それに叶はざる無智の劣機を愍
J09_0019B23: れみて。せめて佛縁をも結ばしめん爲に。しばらく。
J09_0019B24: かろき稱名。あさき安心をば勸め玉へり。これ大師
J09_0019B25: のかりの方便なり。順次往生の正義にはあらずと云
J09_0019B26: ふ邪推の義を談じて。無智の男女に大師の御心を疑
J09_0019B27: はしめたりと聞ゆめり。御在世の時にだにも。かく
J09_0019B28: 侍りければ。滅後はさこそと。なげき思しめされし
J09_0019B29: 故に。まづ此段にかの他宗の立つる觀念の念佛と學
J09_0019B30: 解の安心とを擧げて。それにはあらずと揀びすてて。
J09_0019B31: 次の段に。御心中の願行相續の稱名の正義を示し。
J09_0019B32: 更に御誓言を加へて。觀念理持の念佛は。淨土宗の
J09_0019B33: 本意にはあらずと云ふ。意を示して。男女の膽を慥
J09_0019B34: に定め玉へるなり。又御在世の時。御門弟の中に。

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