浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0399A01: | 樣のと胡亂なる無生を。無常迅速の世の中に。悠々と |
Z14_0399A02: | 思案工夫する間に。死地に赴かば。何とかせん。人身 |
Z14_0399A03: | を得るものは。爪上の土の如くと說き玉へり。一たび |
Z14_0399A04: | 失ては萬刧にも得がたし。世俗の敎誡にも寸陰を惜 |
Z14_0399A05: | めとこそ聞へたれ。今日現前に仁義五常を行ふ人は |
Z14_0399A06: | 世の中の上々人なることは決定して知れたることに |
Z14_0399A07: | て。亦決定してなることなり。然るにこれさへ千萬人 |
Z14_0399A08: | の中に實行の人は五人三人も有り難きことなり。な |
Z14_0399A09: | らふやらなるまじきやら定まらぬことが。何と決定 |
Z14_0399A10: | なるべきや。あやうき卽心念佛の安心なり。安心さへ |
Z14_0399A11: | しかなれば。行はなをしかるべし。吾さへ勤め得たり |
Z14_0399A12: | と思はぬとは。眞實語なるべし。台宗の中にては。天 |
Z14_0399A13: | 下一人とをもはるゝ程の老宿さへ。勤め得たりと思 |
Z14_0399A14: | はれぬ卽心念佛なれば。中々今時の吾等ていのもの |
Z14_0399A15: | ゝ。修し得べき法に非ざること知れたり。或問に事の |
Z14_0399A16: | 念佛者にても。自ら勤め得たりと云ふ人は。末代には |
Z14_0399A17: | 有り兼ぬべし。若し有れば愚癡の至りか增上慢かな |
Z14_0399B01: | らんと。是れ尤のように候へども。左樣にてはなし。 |
Z14_0399B02: | 淨土宗には敎の如く。三萬以上は上品の業と定めて |
Z14_0399B03: | 勤れども。日別五萬六萬勤め得る者は希に候。五千よ |
Z14_0399B04: | り一萬二萬等。分に隨て勤め申候。愚癡の至りかは存 |
Z14_0399B05: | ぜねども。增上慢にてはあるまじく候。 |
Z14_0399B06: | 問。死なずして死に。生れずして生るゝは。生死あ |
Z14_0399B07: | り乍ら生死は無きなり。如レ此安心すれば。生死に |
Z14_0399B08: | 於て大自在なり。大安樂なり。加樣の道理は學問せ |
Z14_0399B09: | ずとも。志あり信心ある人は。合點ゆくべしと如何 |
Z14_0399B10: | なることぞや。 |
Z14_0399B11: | 答。是則不生不滅の理を證したる。悟忍十大菩薩なる |
Z14_0399B12: | べし。生死に於て大自在を得たるが故に。今時學問せ |
Z14_0399B13: | ぬものが。加樣のことを假令聞き覺へ口に云ふとも。 |
Z14_0399B14: | 鼠卽爲空何の益かあらん。賤のをだまきくりかへし |
Z14_0399B15: | 〱思へども。終日他の寶を數へるなるべし。淨土宗 |
Z14_0399B16: | には死れども死せず。生ずれども生ぜずと知るべし。 |
Z14_0399B17: | 凡夫の情謂は。實に生ずれども。彼土は無生の界なれ |