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Z1480 即心念仏浄土問弁 知空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0399A01: 樣のと胡亂なる無生を。無常迅速の世の中に。悠々と
Z14_0399A02: 思案工夫する間に。死地に赴かば。何とかせん。人身
Z14_0399A03: を得るものは。爪上の土の如くと說き玉へり。一たび
Z14_0399A04: 失ては萬刧にも得がたし。世俗の敎誡にも寸陰を惜
Z14_0399A05: めとこそ聞へたれ。今日現前に仁義五常を行ふ人は
Z14_0399A06: 世の中の上々人なることは決定して知れたることに
Z14_0399A07: て。亦決定してなることなり。然るにこれさへ千萬人
Z14_0399A08: の中に實行の人は五人三人も有り難きことなり。な
Z14_0399A09: らふやらなるまじきやら定まらぬことが。何と決定
Z14_0399A10: なるべきや。あやうき卽心念佛の安心なり。安心さへ
Z14_0399A11: しかなれば。行はなをしかるべし。吾さへ勤め得たり
Z14_0399A12: と思はぬとは。眞實語なるべし。台宗の中にては。天
Z14_0399A13: 下一人とをもはるゝ程の老宿さへ。勤め得たりと思
Z14_0399A14: はれぬ卽心念佛なれば。中々今時の吾等ていのもの
Z14_0399A15: ゝ。修し得べき法に非ざること知れたり。或問に事の
Z14_0399A16: 念佛者にても。自ら勤め得たりと云ふ人は。末代には
Z14_0399A17: 有り兼ぬべし。若し有れば愚癡の至りか增上慢かな
Z14_0399B01: らんと。是れ尤のように候へども。左樣にてはなし。
Z14_0399B02: 淨土宗には敎の如く。三萬以上は上品の業と定めて
Z14_0399B03: 勤れども。日別五萬六萬勤め得る者は希に候。五千よ
Z14_0399B04: り一萬二萬等。分に隨て勤め申候。愚癡の至りかは存
Z14_0399B05: ぜねども。增上慢にてはあるまじく候。
Z14_0399B06:  問。死なずして死に。生れずして生るゝは。生死あ
Z14_0399B07:  り乍ら生死は無きなり。如此安心すれば。生死に
Z14_0399B08:  於て大自在なり。大安樂なり。加樣の道理は學問せ
Z14_0399B09:  ずとも。志あり信心ある人は。合點ゆくべしと如何
Z14_0399B10:  なることぞや。
Z14_0399B11: 答。是則不生不滅の理を證したる。悟忍十大菩薩なる
Z14_0399B12: べし。生死に於て大自在を得たるが故に。今時學問せ
Z14_0399B13: ぬものが。加樣のことを假令聞き覺へ口に云ふとも。
Z14_0399B14: 鼠卽爲空何の益かあらん。賤のをだまきくりかへし
Z14_0399B15: 〱思へども。終日他の寶を數へるなるべし。淨土宗
Z14_0399B16: には死れども死せず。生ずれども生ぜずと知るべし。
Z14_0399B17: 凡夫の情謂は。實に生ずれども。彼土は無生の界なれ

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