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Z1480 即心念仏浄土問弁 知空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0396A01: 彌陀佛と稱ふれば。佛の功德卽ち衆生の功德となつ
Z14_0396A02: て。娑婆の草菴に眼を閉ずれば。極樂の蓮臺に趺を結
Z14_0396A03: ぶの時なり。娑婆にては機に種々の差別あれ共。彼の
Z14_0396A04: 國に到りぬれば。大乘善根界等無譏嫌名。女人及根
Z14_0396A05: 缺。二乘種不生なれば。平等に無生忍を得るなり。こ
Z14_0396A06: れ事に依て理を證す。佛力難思の故に。事の念佛申の
Z14_0396A07: 方よりは。えいはぬと謗らるれども。理事相違なけれ
Z14_0396A08: ば。云はぬは云ふより甚だ勝れるなるべし。理持は事
Z14_0396A09: 持を收め。事持は理持をえ收めぬと云はるゝが。其理
Z14_0396A10: 事と云へるは。四行莫非皆緣實相の一心三觀なるべ
Z14_0396A11: し。しからば濁世愚凡の修入すべき法にあらず。若し
Z14_0396A12: 一心三觀を離れて申す念佛ならば。淨土宗の念佛な
Z14_0396A13: り。淨土宗の念佛は。往生の爲に但信口稱するのみ。
Z14_0396A14: 口稱に往生の功あれば。理は期せずして自ら具する
Z14_0396A15: なり。理持の難きも得生し。事持の易きも得生すれ
Z14_0396A16: ば。吾れは其易きに從はんのみ。
Z14_0396A17:  問。法然上人は唐土吾朝の。諸の智者達の沙汰し申
Z14_0396B01:  さるゝ觀念の念にも非ず。又念の意を悟りて申す
Z14_0396B02:  念佛にも非ずと拂ひ玉へりと云ふて。親子を喩へ
Z14_0396B03:  に出し。法華經の文を引れたるは。さもあることに
Z14_0396B04:  や。
Z14_0396B05: 答。此師理觀觀念を拂へることを甚だ憤り。理觀を執
Z14_0396B06: する情より不覺誹謗正法の過を犯されたり。事の念
Z14_0396B07: 佛は大分水を加へたる乳の如くにて。佛法の本味な
Z14_0396B08: しと謗らる。これ我祖を破するに非ず。兩尊を破する
Z14_0396B09: なり。本願の文に曰く。至心信樂欲生我國。乃至十念
Z14_0396B10: と誓ひ。觀經に曰く。此人苦逼不遑念佛。善友吿言。汝
Z14_0396B11: 若不能念者。應稱無量壽佛。小經曰。一日七日一心不
Z14_0396B12: 亂。執持名號。大經曰。一向專念無量壽佛と。何の所に
Z14_0396B13: 理觀々念ありや。口稱の名號なること。坦然明白な
Z14_0396B14: り。我祖私に拂ひ玉はんや。男女貴賤智愚禽畜に至る
Z14_0396B15: まで。念佛する者は往生せずと云ふことなし。これ機
Z14_0396B16: 情悟解を離れたる超世の本願。念佛なるが故なり。法
Z14_0396B17: 華を諸經の親と云はるゝは珍らしからぬこと。三乘

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