浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0395A01: | 答。我所立に荷擔したるを悅び。自害になることをも |
Z14_0395A02: | はたと忘れたるなるべし。法明和上をば。天台宗にな |
Z14_0395A03: | りたる甲斐なしと。ひたもの謗りながら。淨土の所化 |
Z14_0395A04: | が念佛を抑下誹謗して。大分水をまぜたる乳にて。佛 |
Z14_0395A05: | 意に遠ざかり。小乘の見解なり。事の念佛は功德が劣 |
Z14_0395A06: | り。悟りかねて。ぐづゝくと云ふを。害にならぬと云 |
Z14_0395A07: | ふ。此坊主は淨土宗になりたる甲斐なき蝙蝠僧なり。 |
Z14_0395A08: | 之を賢き人とほめらるゝは。如何なる心行ぞや。能く |
Z14_0395A09: | 自ら思量して見らるべし。渡なみの淨土宗は眼ある |
Z14_0395A10: | 故に。大に誹謗したるをば害にならぬとは得云はぬ |
Z14_0395A11: | なり。天下の人。無レ眼則已。有レ眼者則誰信二此誑惑一乎。 |
Z14_0395A12: | 問。所念の佛は。三身具足の彌陀なり。三身は三諦 |
Z14_0395A13: | なり。三諦の彌陀を念ずるは。卽ち一心三觀なり。 |
Z14_0395A14: | 此理を知て此理を照すは上々の人なり。此理を知 |
Z14_0395A15: | らねども。此の理は離れぬものなれば。愚癡無智の |
Z14_0395A16: | 人の申念佛も。一心三觀の卽心念佛と云ふに相違 |
Z14_0395A17: | なきなり。此則卽心念佛の人よりは。事の念佛申 |
Z14_0395B01: | も。卽心念佛を離れぬと見れども。事の念佛の方よ |
Z14_0395B02: | りは。左樣には得云はぬなり。又天台宗の卽心念佛 |
Z14_0395B03: | の理持を勤むる人は。法然流の事の念佛は自ら勤 |
Z14_0395B04: | てをるなり。法然流の事の念佛は。台家の卽心念佛 |
Z14_0395B05: | の理持を收むることはならぬなりと。これいかな |
Z14_0395B06: | る事ぞや。 |
Z14_0395B07: | 答。前後不都合の妄談なり。愚癡無智の人と云へる |
Z14_0395B08: | は。三諦も三觀も知らぬなるべし。其人の唱へる念佛 |
Z14_0395B09: | が。三諦卽是の理を觀照したる卽心念佛と相違なく |
Z14_0395B10: | ば。何とて前に事の念佛は劣り。理の念佛は勝れたり |
Z14_0395B11: | と云へるや。本と借用せられたるものゆへ。不レ覺指 |
Z14_0395B12: | 出されたり。諺に云く。難波の葦は伊勢の濱荻にて。 |
Z14_0395B13: | 物體一なれぱ。何と名を替へ色どりても。本體はまぎ |
Z14_0395B14: | れもなく。本願の念佛にて。愚癡無智の人の申す念佛 |
Z14_0395B15: | も。智者の申す念佛も。相違なきことは。唯一の本願 |
Z14_0395B16: | 名號なるが故なり。佛果不思議の力無畏。不共法等の |
Z14_0395B17: | 無量の功德の癡暗の凡夫を隔て玉はぬ故に。南無阿 |