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Z1470 略論安楽浄土義非曇鸞撰駁付 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0382A01: るかな。諸師のこれを依用し玉ふこと。是四次には流行
Z14_0382A02: の安樂義に多本あれば。傳寫の誤りにて文字は少々
Z14_0382A03: 增減すれども。倒置のなきことは。具さに續說の如
Z14_0382A04: し。是五次には縱ひ和語倒置の寫誤ありとも。古書に其
Z14_0382A05: 例多ければ。亦疑ふに足らず。かの淨影の觀經疏本の十八
Z14_0382A06: に。爲子被幽閉と云ふも。和語なれども。此疏を指
Z14_0382A07: て本邦無識の作なりともせず。況や安樂義は。幸に左
Z14_0382A08: 樣の誤り無之をや。是六次にはかの安樂集は。大方鸞
Z14_0382A09: 師に依り玉へば。論註。讃阿彌陀偈。幷に問答の三書
Z14_0382A10: をかはる〲引用し玉へり。然るを論註奉讃の二書
Z14_0382A11: を引く處は。綽公。鸞師により。ひとり問答を引く處
Z14_0382A12: ばかりが。流行の義より。安樂集を盜めりとは。道理
Z14_0382A13: もなく。證據もなき。あて推第一の妄說ならずや。是七
Z14_0382A14: 問。旣に鸞師の撰を什公と異說す。其例ありや。答。
Z14_0382A15: 之。南山撰集錄云。諸經要集二十卷。今藏中題云𤣥
Z14_0382A16: 惲撰。隨幽音云道世撰。又云道集道譯等。皆誤也。今
Z14_0382A17: 卷首。祖師自序云。乃至則驗。非他撰明矣と。か樣
Z14_0382B01: の例甚だ多し。なれば鸞師の問答を什公と誤ること。
Z14_0382B02: 寧ろ怪むに足らんや。且つ震旦にて念佛ありと知ら
Z14_0382B03: せしは。廬山大師を始めとす。樂邦文類云。勸生淨土。
Z14_0382B04: 固出大覺慈尊。然而使此方之人知一レ念佛三昩者。
Z14_0382B05: 遠公法師。爲始祖焉。歸元直指。同此。と。什公もし西
Z14_0382B06: 方のことを論じ。念佛の義を說かれば。何ぞ遠公を始
Z14_0382B07: 祖と云はん。上來の義に依て言之に。流行の安樂義
Z14_0382B08: は。固に曇鸞菩薩の。御作なること。譬ば重昏を披て
Z14_0382B09: 太陽を覩るが如し。何ぞそれ明顯なる。願は有人。過
Z14_0382B10: ては改るに憚られず。早く此邪辨を擧て。一炬に付
Z14_0382B11: し。十方佛前。手に香華を執て。その破法罪の因緣を
Z14_0382B12: 懺悔せられよ。至望々々。時に享保己酉の秋閏九月上
Z14_0382B13: 旬無名子記す。
Z14_0382B14: 略論安樂淨土義非曇鸞撰駁附
Z14_0382B15:
Z14_0382B16:  享保十四年己酉閏九月
Z14_0382B17:             東都書肆 前川權兵衛梓

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