ウィンドウを閉じる

Z1470 略論安楽浄土義非曇鸞撰駁付 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0380A01: 盲さで。採摘。十疑。安樂の極め札は。慮外千萬とは思
Z14_0380A02: はれずや。 さて加鄙言の惡口にて。大なぐりをの
Z14_0380A03: 玉ふは至極あしゝ。先づどこ〲が鄙言ぞ。一々承り
Z14_0380A04: たし。紛かさずにとくと語り玉へ。さて漢文の中へ
Z14_0380A05: 和語を書き込む人などが。上代の唐書を鄙言と謗る
Z14_0380A06: こと。喩へば乞食の天子の敕書を毀るが如し。勿體な
Z14_0380A07: き有人かな。且つ大度を謚の法にて註し。光明眞言の
Z14_0380A08: 和俗の鄙言をだも知らぬ分齋にて。いらざる唐書の
Z14_0380A09: 眞僞沙汰。僭踰の至りと愧ぢ入られよ。きて又和人
Z14_0380A10: が。安樂義を僞作すと云ふことなどは。隨分不思案ず
Z14_0380A11: きな者が。こくびを傾げても。思案し出されまじき
Z14_0380A12: に。よく〱不思案のすきな有人かな。其故は或は他
Z14_0380A13: 書を盜みて。撰號を換へ。或は古の安樂義亡びて後。
Z14_0380A14: それを僞作すなどゝ云ふことは有なん。いかに虛が
Z14_0380A15: つきたければとて。現に安樂義と云ふ者あるに。又同
Z14_0380A16: じ安樂義と云ふ者を拵へて。流布する道理あらんや。
Z14_0380A17: 又寶地房の時分。有人の云ふ僞作あらば。何とぞ私記
Z14_0380B01: に簡別も有るべきことなるに。曾て其沙汰なし。驗し
Z14_0380B02: 寶地の時分。安樂義は唯一本にて有しことを。其上本
Z14_0380B03: 邦に吉水以前は。淨土宗と云ふこともなきに。其時い
Z14_0380B04: かなる好事ものありて。旣に什の安樂義あるに。又論
Z14_0380B05: 註安樂集をとり集めて。淨土宗贔負の安樂義を作ら
Z14_0380B06: んや。又若し吉水以後の僞作とせば。聖光。良忠な
Z14_0380B07: どは。僞りを云ふ人品には非ず。然るに此時已に曇鸞
Z14_0380B08: の安樂義。天下に流布せり。且つ寶地。聖光。良忠はや
Z14_0380B09: がて同時位なるに。此間いかなる手ばやき醉狂もの。
Z14_0380B10: ちよくと僞作して。聖光。良忠までを惑はさんや。
Z14_0380B11: 又聖光上人は。もと寶地に依て學問し。良忠上人は。
Z14_0380B12: 又聖光の弟子なれば。其學問の手筋ほど近し。されば
Z14_0380B13: いかなる良忠なりとも。何ぞ僞作の安樂義を僉議せ
Z14_0380B14: ずして。猥にこれを信用せられんや。然れば則ち有人
Z14_0380B15: の證據なきあて推は。云ふに及ばず。道理とても。必
Z14_0380B16: ず無之れば。隨分鈍な者も。左樣の不調法は決して
Z14_0380B17: 云ふまじきに。なに樣曇鸞の安樂義は。唯有人一人の

ウィンドウを閉じる