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Z1470 略論安楽浄土義非曇鸞撰駁付 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0379A01: の安樂義は有るものと遽に信が起りたる樣子。 さ
Z14_0379A02: て彼の錄に安樂義あるにもせよ。彼の錄は誤り多し。
Z14_0379A03: 定說とせられず。旣に讃阿彌陀佛偈は。曇鸞の作なる
Z14_0379A04: ことは。安樂集。淨土論に甚だ明かなり。それを羅什
Z14_0379A05: と誤れば。安樂義をも誤ること必定なり。か樣の名違
Z14_0379A06: ひは唐人の目錄にさへ有之。況や和人の目錄をや。
Z14_0379A07: 怪むに足ず。私記恐くは超公に依るか。縱ひ依らずと
Z14_0379A08: も。此れまた信じ難し。かの大乘止觀。十疑論をも。南
Z14_0379A09: 岳天台の作に非ずと云ふ。何ぞ獨り安樂義を云ふが
Z14_0379A10: 決定ならん。然れば超眞二公の說。固に誤れり此誤
Z14_0379A11: を至極と思ふ有人の文盲知りぬべし。さて古より書
Z14_0379A12: 物の撰者には。異說を云ふこと。其例多し。菩提心論
Z14_0379A13: を或は不空。或は龍樹と云ふが如し。故に安樂義も。
Z14_0379A14: 曇鸞。羅什の異說あり。然るに有人。羅什の撰をば夢
Z14_0379A15: にも見ず。何を證據に唯有羅什撰と云ふ極め札を出
Z14_0379A16: さるゝや。證據なき自作の札は。何と公界へ披露せら
Z14_0379A17: れん。物の譯を知らぬ人かな。
Z14_0379B01:  然則見行安樂土義。本邦無識者。採摘羅什安樂土
Z14_0379B02:  義曇鸞論註天台十疑論道綽安樂集。妄加鄙言。糅
Z14_0379B03:  爲一卷。僞名曇鸞必矣。
Z14_0379B04: 馭云。此れまた證據なき自作ごとを以て。歷々の古書
Z14_0379B05: をかき破らる。惡逆無道の極り。若し俗にておはさば
Z14_0379B06: 三族をも罪しつべし。まづ摘羅什安樂土義とは。羅
Z14_0379B07: 什の作と。流行の安樂義と。一々見合た樣な云分な
Z14_0379B08: り。然るに有人は。漸々この九月比。始めて羅什の安
Z14_0379B09: 樂義と云ふ名ばかりを知られたるに。十字街頭人も
Z14_0379B10: なげに。よくはこの無慚愧を云る。左樣のうきたる說
Z14_0379B11: は。いかな台家の初學にても。一向受けとられじ。然
Z14_0379B12: るをむりに必矣と思はるゝこと。兎角は摩訶羅の故
Z14_0379B13: か。天狗の所爲か。若し天狗ならば。愛宕山の大天狗
Z14_0379B14: にはあらじ。定めて比叡の山の木葉天狗ならん。此一
Z14_0379B15: 事にても。心ある人はその妄說の程をよく知られよ。
Z14_0379B16: さて先德の安樂義なれば。後學の天台。道綽奉行し玉
Z14_0379B17: ふと云は。これ至極せり。𤍠の字さへ知らぬ有人の文

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