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Z1460 即心念仏摘欺説続 敬首 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0367A01:   て。かの歌を味ふるに。とやかくと。巧みし桶の
Z14_0367A02:   と。云ふよりも。千代のをが。いたゞく桶のと。云
Z14_0367A03:   ふ方が。ことばやすらかにして。其たけ高し。世
Z14_0367A04:   傳の歌。すて難き歟。
Z14_0367A05: を。註すに付て。禪宗の嫌ふことなれども。註釋すと。
Z14_0367A06: の玉ふ故。いや此方は。其禪宗の嫌ふことをば。姑く
Z14_0367A07: すて置て。詰問いたさじ。先づさし當りて。談義主の。
Z14_0367A08: 自語相違し玉ふを。難じ申すべしとなり。然れば。姑
Z14_0367A09: く置くと申すは。此方が。指し置くことなり。談義主
Z14_0367A10: の。指し置かると。云ふことにてはなし。若し談義主
Z14_0367A11: の。指し置かるゝにすれば。次の。まづ自繩自縳。せら
Z14_0367A12: れたりとは。何と申されむ。西を東と。見られし故。譯
Z14_0367A13: もなきことを云はる。
Z14_0367A14: 常には無繩○不審。 自繩自縳は。順俗の平話。談義
Z14_0367A15: 主の。發願經と同じ。問。この平話。唐へ通ずべしや。
Z14_0367A16: 答。通ずべし。大乘顯識經云。如蠶作蠒。自作自縳と。
Z14_0367A17: 傳燈には。吐絲自縳とあり。自ら作るは。自の絲なり。
Z14_0367B01: 自繩と同じ。蠶の。自らの絲繩にて。自縳するを云ふ。
Z14_0367B02: なれば。自繩自縛の話は。せんぎせば。唐にも有べし。
Z14_0367B03: 此云ひ分○知られぬゆへに非ずや。言句上に付て。
Z14_0367B04: 解會をなすを。死句に參ずと云ひ。句中に向て。死却
Z14_0367B05: せざるを。活句に參ずと云ふ。林間。夜話も。みな其意
Z14_0367B06: なり。されば死活は。言句の上にはあらず。乃ち言句
Z14_0367B07: の。用ひ樣なり。然るを。死句活句は。本と定まりたる
Z14_0367B08: ものと。合點して。言句の上に付て。死活を分けらる
Z14_0367B09: ゝ段。尤も非なり。 さて活句とは。意路不通。無
Z14_0367B10: を云ふよし。既に活句と云ふ。はや意路通じて。有
Z14_0367B11: 義味なり。何ぞこれを。無義味とせん。故に東語西話
Z14_0367B12: 云。夫無義者。脫情識意想之表。學者未諭。謂此語是
Z14_0367B13: 放開。是把定。是死句活句等。莫具陳。不知一涉
Z14_0367B14: 。俱成有義矣と。談義主。還て會するや。麼。さ
Z14_0367B15: て。可惜橘后の活句。その言句上に付て。さま〲情
Z14_0367B16: 解し玉ふ故。反て死句と。なり去れり。 さて又古人
Z14_0367B17: の。須活句。莫死句と云ふ。示を受て悟道せし。

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