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Z1450 即心念仏談義本或問余説 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0339A01: 底のぬけたる。咄の分にては。位の咄をし。事しりな
Z14_0339A02: どゝは。決して云はれぬなり。底のぬくると云ふは
Z14_0339A03: 久しく疑ひしことを。一朝に省悟するを。云ふなり。
Z14_0339A04: 佛家の。豁然大悟。宋儒の。一且豁然のきみなり。何ぞ
Z14_0339A05: 必ず位を知ると云はんや。殿上の事しりと云ふべき。
Z14_0339A06: 樣はなきことなり。山がつが。我は一の人なりと云は
Z14_0339A07: ば。氣ちがひとこそ。云ふべけれ。何ぞ事しりと云は
Z14_0339A08: んや。豁然大悟の。咄するは。一の人と云ふ樣なる。
Z14_0339A09: ものなればなり。貴女の思惟。此段は。前の總ぐ
Z14_0339A10: ゝりなれば。前に難ずる處にて。知れたり。
Z14_0339A11: 有人問。彼書に云く。つくとは。離れぬ事とは。これま
Z14_0339A12: た非なり。離れぬは。合の義にて。これ離合の對なり。
Z14_0339A13: いま卽心の卽は。つくの。離れぬのと。云ふことにて
Z14_0339A14: はなし。其心。とりもなをさずにと。云ふことなれば。
Z14_0339A15: そのまゝの義なり。されば。つくの訓を以て。卽の字
Z14_0339A16: をさばくは。頗る台家には。似合ぬ樣に。存候と。此れ
Z14_0339A17: 合點のゆかぬ。云ひ分なれども。彼の人已に。如此云
Z14_0339B01: はるゝからは。世間に。心得損じたる人。多かるべし。
Z14_0339B02: 序に初學の爲め。委細に辨じ玉へ。答。彼の人の。文
Z14_0339B03: 字學問。一向なること。又能く顯はれたり。離れぬ
Z14_0339B04: は。合の義にて。離合の對なりとのこと。さても。文
Z14_0339B05: 盲なることを。云はる。離合とも對し用ひ。卽離とも
Z14_0339B06: 對し用ゆること。常のことなり。彼の人は。離合計り
Z14_0339B07: を知て。卽離の反對を。知られずと見へたり。台家は。
Z14_0339B08: 勿論のこと。唯識論にも。一者卽蘊。二者離蘊。三者與
Z14_0339B09: 蘊非卽非離と。又說於彼言。顯圓成實與依他起。不
Z14_0339B10: 卽不上レ離とあり。禪宗にても。卽此用。離此用と。卽離
Z14_0339B11: 反對に用ゆるなり。彼の人は。卽は合なりと云ふ訓
Z14_0339B12: は。其の理猶を踈しと云ふことを。底に含んで。離れ
Z14_0339B13: ぬと云ふは。合なりと云はるゝなり。底いぢわるきこ
Z14_0339B14: とを云ふて。文盲に陷らるゝなり。卽のうらは。離な
Z14_0339B15: り。離のうらは。卽なり。 さて彼の人は。卽離と。離
Z14_0339B16: 合との差別を。知られずと見へたり。文字の死活。體
Z14_0339B17: 用の分ちを。知られぬは。思ひの外なることかな。離

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