浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0339A01: | 底のぬけたる。咄の分にては。位の咄をし。事しりな |
Z14_0339A02: | どゝは。決して云はれぬなり。底のぬくると云ふは中 |
Z14_0339A03: | 久しく疑ひしことを。一朝に省悟するを。云ふなり。 |
Z14_0339A04: | 佛家の。豁然大悟。宋儒の。一且豁然のきみなり。何ぞ |
Z14_0339A05: | 必ず位を知ると云はんや。殿上の事しりと云ふべき。 |
Z14_0339A06: | 樣はなきことなり。山がつが。我は一の人なりと云は |
Z14_0339A07: | ば。氣ちがひとこそ。云ふべけれ。何ぞ事しりと云は |
Z14_0339A08: | んや。豁然大悟の。咄するは。一の人と云ふ樣なる。 |
Z14_0339A09: | ものなればなり。貴女の思惟。此段は。前の總ぐ |
Z14_0339A10: | ゝりなれば。前に難ずる處にて。知れたり。 |
Z14_0339A11: | 有人問。彼書に云く。つくとは。離れぬ事とは。これま |
Z14_0339A12: | た非なり。離れぬは。合の義にて。これ離合の對なり。 |
Z14_0339A13: | いま卽心の卽は。つくの。離れぬのと。云ふことにて |
Z14_0339A14: | はなし。其心。とりもなをさずにと。云ふことなれば。 |
Z14_0339A15: | そのまゝの義なり。されば。つくの訓を以て。卽の字 |
Z14_0339A16: | をさばくは。頗る台家には。似合ぬ樣に。存候と。此れ |
Z14_0339A17: | 合點のゆかぬ。云ひ分なれども。彼の人已に。如レ此云 |
Z14_0339B01: | はるゝからは。世間に。心得損じたる人。多かるべし。 |
Z14_0339B02: | 序に初學の爲め。委細に辨じ玉へ。答。彼の人の。文 |
Z14_0339B03: | 字學問。一向なること。又能く顯はれたり。離れぬ |
Z14_0339B04: | は。合の義にて。離合の對なりとのこと。さても。文 |
Z14_0339B05: | 盲なることを。云はる。離合とも對し用ひ。卽離とも |
Z14_0339B06: | 對し用ゆること。常のことなり。彼の人は。離合計り |
Z14_0339B07: | を知て。卽離の反對を。知られずと見へたり。台家は。 |
Z14_0339B08: | 勿論のこと。唯識論にも。一者卽蘊。二者離蘊。三者與 |
Z14_0339B09: | 蘊非卽非離と。又說二於彼言一。顯下圓成實與二依他起一。不レ |
Z14_0339B10: | 卽不上レ離とあり。禪宗にても。卽二此用一。離二此用一と。卽離 |
Z14_0339B11: | 反對に用ゆるなり。彼の人は。卽は合なりと云ふ訓 |
Z14_0339B12: | は。其の理猶を踈しと云ふことを。底に含んで。離れ |
Z14_0339B13: | ぬと云ふは。合なりと云はるゝなり。底いぢわるきこ |
Z14_0339B14: | とを云ふて。文盲に陷らるゝなり。卽のうらは。離な |
Z14_0339B15: | り。離のうらは。卽なり。 さて彼の人は。卽離と。離 |
Z14_0339B16: | 合との差別を。知られずと見へたり。文字の死活。體 |
Z14_0339B17: | 用の分ちを。知られぬは。思ひの外なることかな。離 |