浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0328A01: | 呼。今談の說禪は。いつでも說敎となる。その談義本 |
Z14_0328A02: | と云ふは。まことなるかな。 |
Z14_0328A03: | 無相空寂と云○無相空寂なるべし。此も。あしき合 |
Z14_0328A04: | 點に候。旣に藏通別圓の。敎外に在て。そこのぬけし |
Z14_0328A05: | 桶を。通敎のそこじや歟。別敎の桶じや歟とは。何と |
Z14_0328A06: | したる寢言ぞや。千代野若しこれを。大寂定中に聞か |
Z14_0328A07: | ば。さても敎下に。死在せらるゝ。鈍な人かなと。笑ふ |
Z14_0328A08: | べし。 さて千代野は。敎外の悟りなれば。敎者など |
Z14_0328A09: | の。折め正しく。禮儀三百。威儀三千の法を設け。上下 |
Z14_0328A10: | 混ぜぬ樣にとて。君臣凡聖を分ち。位を定て修行する |
Z14_0328A11: | 悟りとは。大に殊なり。故に禪家は兎も角も。若し敎 |
Z14_0328A12: | 家より。これを勘辨せば。千代野などは。六卽を以て |
Z14_0328A13: | 定めぬことなれば。其悟りの程が。凡じややら。聖じ |
Z14_0328A14: | ややら。しかとは極め難し。譬へば。種姓のしれぬ。山 |
Z14_0328A15: | がつが。殿上の政務を。語るが如し。咄を聞けば。殿上 |
Z14_0328A16: | のことなれども。いかにしても。種姓が知れぬ程に。 |
Z14_0328A17: | 一の人。左右の大臣とも。云れず。又檢非違使。藏人と |
Z14_0328B01: | も。申されねば。たゞ山がつの事知りと。名け置が如 |
Z14_0328B02: | し。かの馬鳴。龍樹。南岳。天台等の如き。みな次位を |
Z14_0328B03: | 知て。悟り玉へるは。譬へば。種姓の知れたる顯官の。 |
Z14_0328B04: | 本職の政事を。語るが如し。故に其位。或は五品。十 |
Z14_0328B05: | 信。初地。八地なんど。明かに知るゝなり。千代野など |
Z14_0328B06: | は。彼の山がつの事知りにて。そこのぬけたる。咄は |
Z14_0328B07: | すれども。其位は知れ難し。因て前に。禪人格外の鈐 |
Z14_0328B08: | 鎚などは。次位を立る。修行の例に。なりかぬべしと |
Z14_0328B09: | 云るは。是のことなり。よく〱了知すべし。如レ此 |
Z14_0328B10: | なれば○能く悟るものなり。 貴女の思惟。橘后。賤 |
Z14_0328B11: | 婦の千代野。文盲なる男の。からうすふみ。獵人とは。 |
Z14_0328B12: | 思はるれど。思惟は。初地の大菩薩にて。餘はみな。敎 |
Z14_0328B13: | 外の悟りなれば。敎內にて。愚人を勸る例には。一向 |
Z14_0328B14: | とり合ぬこと上の如し。辨僞にも。此心あるゆへ。 |
Z14_0328B15: | 或問に。委細に辨じ度。思ひしかども。長くなるゆへ。 |
Z14_0328B16: | 略したり。因て今此說を。序に辨ぜん。 六卽の階級 |
Z14_0328B17: | をば。捨て置きつゝ。漫りに。今日の平凡夫の。例にせ |