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Z1380 即心念仏談義本弁惑編 殊意痴 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0037A01: て。其得生する者は。坐時卽得無生忍と判ず。淄澠一
Z14_0037A02: 味の土なり。本より橫超斷四流の行者。亦何をか羨ん
Z14_0037A03: や。其往生とは。無生の義なり。悟道と云も。亦是無生
Z14_0037A04: なるを以て。淨土の往生とは。諸宗の悟道と同し。𣵀
Z14_0037A05: 槃經。亦名無生。亦名𣵀槃と說き。大經に。次於無爲泥
Z14_0037A06: 洹之道。亦虛無之身。無極之體と。觀經に。當坐道場。
Z14_0037A07: 生諸佛家と說玉ふ。娑婆の聞薰あるもなきも。昨夢の
Z14_0037A08: 覺たるが如く。俱に得無生法忍。爰を以て五乘ひと
Z14_0037A09: しく願淨土。法身地上の薩埵。普賢文殊を始て。歸
Z14_0037A10: 投して往生を願し。十方の諸佛共に讃して。極樂を法
Z14_0037A11: 王家とす。法照禪師の。五會法事讃曰。彼佛因中立
Z14_0037A12: 。聞名念我總來迎。不貧窮將富貴。不下智
Z14_0037A13: 高才。不多聞持淨戒。不破戒罪根深。但使
Z14_0037A14: 回心多念佛。能令瓦礫變成一レ金。實斯金山の飛鳥は。不
Z14_0037A15: 染成金色。老漢自力の封情にて。淨土を娑婆のごと
Z14_0037A16: くに思ふ。倒見可哀。
Z14_0037A17: 談曰。善導法然の勸め乃至段々と佛の本意は薄くなる
Z14_0037B01: なり乃至善導法然の勸めは。大分水を加たる乳なり
Z14_0037B02: 等。辨曰。這老漢。胸中の痞塊。於之發𤍠し。今時の
Z14_0037B03: 衆生の信を妨く。大法敵。無顧の惡人なり。本實義な
Z14_0037B04: きより起りしこと故に。先つ自語相違あり。旁觀記に
Z14_0037B05: は。法然上人。この敎へ大慈大悲より起りたり。誠に
Z14_0037B06: 有り難き御すゝめなり。又法然上人は。よく法華經の
Z14_0037B07: 意を明らめて。佛意を得玉へる故に。至て愚なる尼入
Z14_0037B08: 道の類ひまで。往生極樂の安心を。決定せしめ玉ふな
Z14_0037B09: り。又上人の御本意は。事の念佛にてはあれど。圓頓
Z14_0037B10: の意にも。そむかざることなり。此こと大事なり。又
Z14_0037B11: 末代の劣機をして。何とぞ惡道の流轉をはなれ。極樂
Z14_0037B12: へ往生せしめ。其上に速に成佛せしめたきと。思しめ
Z14_0037B13: したる無上の善巧方便なり。乃至豈大慈大悲より。此
Z14_0037B14: 一門を建立し玉ふに非ずや等。老漢旣に圓光大師は。
Z14_0037B15: 佛意を得玉へるの。圓頓の意にそむかぬの。法華經の
Z14_0037B16: 意を明め玉ふの。無上の善巧のと。書置ながら。今は
Z14_0037B17: また。佛の本意は薄なり。大分水を加へたる乳とは。

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