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Z1360 即心念仏安心決定談義本 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0019A01: 兩翼。車の兩輪の如くにて。自由自在なることなり。
Z14_0019A02: 末世の愚癡無智。此修行は。なるまじきことといへど
Z14_0019A03: も。左樣にてはなし。女にも。男にも。貴にも。賤にも。
Z14_0019A04: 智慧聰明なる生れつきの人をゝし。能敎へ。能習ひた
Z14_0019A05: らば。なるまじきことにてなし。只志しなく。敎へや
Z14_0019A06: うのわるきゆへなり。昔しの龍女の作佛せしは。畜生
Z14_0019A07: なり。觀經の當機なる韋提希夫人や。五百の侍女は。
Z14_0019A08: 皆歷々の女人なり。六祖大師は。越前のからうすふみ
Z14_0019A09: のやうなる人なり。石鞏禪師は。奧山の獵師なり。そ
Z14_0019A10: れでも。さとりが開。大祖師となれり。日本の橘皇后
Z14_0019A11: は。禪を悟りて。もろこしの。山のあなたに。たつ雲
Z14_0019A12: は。こゝにたく火の。煙りなりけりと。よみ玉へり。此
Z14_0019A13: 歌を。去人。隔山見煙。早知是火之意也と云て。比量
Z14_0019A14: 智の意と云り。禪を嘗て知ぬ云分なり。此歌などは。
Z14_0019A15: 活句と云ものなれば。義理の付られぬことなり。千代
Z14_0019A16: 野と云女は。餘り遠き世の人には非ず。美濃國。武義
Z14_0019A17: 郡。松見寺と云尼寺の。仕女なり。菜つみ。水くむもの
Z14_0019B01: なりしが。禪の工夫をして。終に悟りが開けて。とや
Z14_0019B02: かくと。巧みし桶の。そこぬけて。水たまらねば。月も
Z14_0019B03: やどらずと。讀たり。此歌。世上には。千代野をが。い
Z14_0019B04: たゞく桶の。そこぬけて。水たまらねば。月影もなし
Z14_0019B05: と。覺へてをるなり。千代野が傳と云ものには。前の
Z14_0019B06: 通りの歌なり。此歌の意は。禪宗の嫌ふこと。入ぬ註
Z14_0019B07: 釋なれども。緣影の無體なることを知て。本心の無相
Z14_0019B08: 空寂なる氣味を。合點したるなるべし。無相空寂と云
Z14_0019B09: に付ても。通敎の無相空寂あり。別敎の無相空寂あ
Z14_0019B10: り。圓敎の無相空寂あり。圓敎の無相空寂でなけれ
Z14_0019B11: ば。卽心念佛の心體とは云れぬなり。千代野が味ひた
Z14_0019B12: る處は。定て通敎の無相空寂か。別敎の無相空寂なる
Z14_0019B13: べし。如此なれば。貴きも。賤きも。女人にても。學問
Z14_0019B14: せぬ文盲なる男にても。志あれば。道理は能悟るもの
Z14_0019B15: なり。今の世とても。志あり。善敎へを受たらば。智慧
Z14_0019B16: 明かに。なるまじきものにてはなし。智慧明かになり
Z14_0019B17: たらば。淨土を求むることは。入まじと疑べけれど

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