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Z1360 即心念仏安心決定談義本 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0014A01: 大乘の事の行にてあるなり。去れども見解は。小乘三
Z14_0014A02: 藏なり。𣵀槃經に。四敎の意を。四句と說せ玉ひたり。
Z14_0014A03: 生生不可說。生不生不可說。不生生不可說。不生不生
Z14_0014A04: 不可說なり。生々は。三藏敎なり。極樂へ生じ生ずと
Z14_0014A05: 思ふは。小乘の見解にあらずや。卽心念佛の人は。此
Z14_0014A06: 界にて。念佛申す時。はや生の見を離るゝゆへ。遙に
Z14_0014A07: 勝れて。目出度修行なり。去ども。不生不滅の無生の
Z14_0014A08: 理は。上根利智の人は。合點ゆくべけれども。學問も
Z14_0014A09: せぬ。愚かなる人は。いかでか合點ゆくべき。用にも
Z14_0014A10: 立ぬことなりと。思ふ人あるべけれども。左樣にては
Z14_0014A11: なし。無生の理を。深く明らむることこそ。なり難き
Z14_0014A12: ことなれども。無生のきみあひを。大樣合點すること
Z14_0014A13: は。なるまじきことにあらず。合點すれば。相應の利
Z14_0014A14: 益あることなり。昔しの人の云るは。往生を求むる人
Z14_0014A15: は。死ぬると思ふべからず。只生ると思ふべしと。示
Z14_0014A16: せり。此よき示しなり。深き道理にも。相叶へり。死ぬ
Z14_0014A17: ると思へば。物がなしく。心ぼそし。生るゝと思へば。
Z14_0014B01: 面白く。末たのもし。此ことは。いかなる愚かなる人
Z14_0014B02: も。合點し易きことにあらずや。然るに。死ぬればこ
Z14_0014B03: そ。生るゝと云ことあれ。死なねば。生るゝと云こと
Z14_0014B04: はなきなり。死ぬとは思はずして。生るゝと思ふなれ
Z14_0014B05: ば。實には生れもせぬなり。よく合點すべし。極樂往
Z14_0014B06: 生は。別のことはなひ。遠き處に。遊びに往と思ふべ
Z14_0014B07: し。都の人が。吉野。初瀨の花を見に往。須磨。明石へ。
Z14_0014B08: 月を見に往は。宿〓出るを。死ぬと思はず。彼地へ往
Z14_0014B09: を。生ると思はぬゆへ。只月を見。花を見んと。心面白
Z14_0014B10: く思ひ。いさみすゝんで。遠き處なれども。ゆくなり。
Z14_0014B11: 卽心念佛の人。臨終の時。死ぬると思はず。只八功德
Z14_0014B12: 水の月を見。七重行樹の花見に往く心なれば。大安樂
Z14_0014B13: 大快樂の往生なり。此心になりきはまりたるが。眞實
Z14_0014B14: の念佛申しなり。何とぞかやうに。安心決定するやう
Z14_0014B15: にすべし。若人ありて。何の爲に念佛申すぞと問ば。
Z14_0014B16: 八功德水の月見の爲。七重行樹の花見の爲と。答ふべ
Z14_0014B17: し。それはこなた。死にて後のことにてはなしやと問

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