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Z1360 即心念仏安心決定談義本 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0013A01: 經の中に。法本不生。今則無滅。得此無生法忍と。說
Z14_0013A02: 玉へり。諸法無生と云が。卽ち不生不滅なり。法華經
Z14_0013A03: の方便品に。諸法從本來。常自寂滅相と說玉へり。諸
Z14_0013A04: 法は。寂滅相にして。無生なり。昔し有禪宗。この諸法
Z14_0013A05: 從本來。常自寂滅相の文を疑ひて。久しく思案工夫
Z14_0013A06: して。春の朝。鶯の啼を聞て。始めて大いに悟りが開
Z14_0013A07: けたり。因て頌を作りて。諸法從本來。常自寂滅相。春
Z14_0013A08: 到百華香。黃鶯啼柳上と。いへり。此意は。春來れば。
Z14_0013A09: 柳は綠。花は色々に咲亂れ。都は春の錦なりと見ゆる
Z14_0013A10: に。鶯の妙法華經とさへづる。春のけしき。それが卽
Z14_0013A11: ち諸法寂滅相なりと。悟れるなり。かやうの春のけし
Z14_0013A12: きは。迷ひの厚き凡夫も。同じながめなるゆへ。相替
Z14_0013A13: らぬことと思ふへけれども。左樣にてはなきなり。悟
Z14_0013A14: りの目より見れば。花は唯心法界の色。柳は唯心法界
Z14_0013A15: の綠。鶯は唯心法界の囀りなれば。凡夫の見る處と
Z14_0013A16: は。大いにかわれり。因て法華經の壽量品には。如來
Z14_0013A17: 實知見三界之相。無生死。若退若出。亦無在世。
Z14_0013B01: 及滅度者。非實非虛。非如非異。不三界。見於三
Z14_0013B02: と。說玉ひて。諸佛如來の見には。生もなく。滅も
Z14_0013B03: なきなり。然るに。極樂往生は。旣に往生と云ゆへに。
Z14_0013B04: 生なき中に生を見て。生を求むれば。迷ひの上の迷ひ
Z14_0013B05: と云べし。佛道修行とは。云べからずと云疑ひ。古へ
Z14_0013B06: よりあることなり。因て上代の祖師達。色々に會釋し
Z14_0013B07: 玉へり。天台宗の意は。死は卽ち唯心法界の死。生は
Z14_0013B08: 卽ち唯心法界の生なれば。往生すれども無生なり。往
Z14_0013B09: 生を求むるが。少しも法性無生の道理に。そむかぬな
Z14_0013B10: り。事の念佛を申す人は。無生の道理を。沙汰はせね
Z14_0013B11: ども。極樂へ往生すれば。自然に生滅の見がなくなる
Z14_0013B12: なり。因て曇鸞の往生論の註には。彼下品人。雖
Z14_0013B13: 法性無生。但以佛名。作往生意。願生彼土。彼
Z14_0013B14: 土是無生界。見生之火自然而滅とあり。此通りなれ
Z14_0013B15: ば。事の念佛の人は。此界にては。生の見をゑ離れず。
Z14_0013B16: 極樂へ往生して。其後生の見を離るゝなり。然るに。
Z14_0013B17: 事の念佛にても。淨土を期するは。小乘とは云れず。

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