浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0013A01: | 經の中に。法本不レ生。今則無レ滅。得二此無生法忍一と。說 |
Z14_0013A02: | 玉へり。諸法無生と云が。卽ち不生不滅なり。法華經 |
Z14_0013A03: | の方便品に。諸法從本來。常自寂滅相と說玉へり。諸 |
Z14_0013A04: | 法は。寂滅相にして。無生なり。昔し有禪宗。この諸法 |
Z14_0013A05: | 從本來。常自寂滅相の文を疑ひて。久しく思案工夫 |
Z14_0013A06: | して。春の朝。鶯の啼を聞て。始めて大いに悟りが開 |
Z14_0013A07: | けたり。因て頌を作りて。諸法從本來。常自寂滅相。春 |
Z14_0013A08: | 到百華香。黃鶯啼二柳上一と。いへり。此意は。春來れば。 |
Z14_0013A09: | 柳は綠。花は色々に咲亂れ。都は春の錦なりと見ゆる |
Z14_0013A10: | に。鶯の妙法華經とさへづる。春のけしき。それが卽 |
Z14_0013A11: | ち諸法寂滅相なりと。悟れるなり。かやうの春のけし |
Z14_0013A12: | きは。迷ひの厚き凡夫も。同じながめなるゆへ。相替 |
Z14_0013A13: | らぬことと思ふへけれども。左樣にてはなきなり。悟 |
Z14_0013A14: | りの目より見れば。花は唯心法界の色。柳は唯心法界 |
Z14_0013A15: | の綠。鶯は唯心法界の囀りなれば。凡夫の見る處と |
Z14_0013A16: | は。大いにかわれり。因て法華經の壽量品には。如來 |
Z14_0013A17: | 如レ實知二見三界之相一。無レ有二生死。若退若出一。亦無二在世。 |
Z14_0013B01: | 及滅度者一。非レ實非レ虛。非レ如非レ異。不レ如二三界一。見二於三 |
Z14_0013B02: | 界一と。說玉ひて。諸佛如來の見には。生もなく。滅も |
Z14_0013B03: | なきなり。然るに。極樂往生は。旣に往生と云ゆへに。 |
Z14_0013B04: | 生なき中に生を見て。生を求むれば。迷ひの上の迷ひ |
Z14_0013B05: | と云べし。佛道修行とは。云べからずと云疑ひ。古へ |
Z14_0013B06: | よりあることなり。因て上代の祖師達。色々に會釋し |
Z14_0013B07: | 玉へり。天台宗の意は。死は卽ち唯心法界の死。生は |
Z14_0013B08: | 卽ち唯心法界の生なれば。往生すれども無生なり。往 |
Z14_0013B09: | 生を求むるが。少しも法性無生の道理に。そむかぬな |
Z14_0013B10: | り。事の念佛を申す人は。無生の道理を。沙汰はせね |
Z14_0013B11: | ども。極樂へ往生すれば。自然に生滅の見がなくなる |
Z14_0013B12: | なり。因て曇鸞の往生論の註には。彼下品人。雖レ不レ |
Z14_0013B13: | 知二法性無生一。但以下稱二佛名一力上。作二往生意一。願生二彼土一。彼 |
Z14_0013B14: | 土是無生界。見生之火自然而滅とあり。此通りなれ |
Z14_0013B15: | ば。事の念佛の人は。此界にては。生の見をゑ離れず。 |
Z14_0013B16: | 極樂へ往生して。其後生の見を離るゝなり。然るに。 |
Z14_0013B17: | 事の念佛にても。淨土を期するは。小乘とは云れず。 |