ウィンドウを閉じる

Z1360 即心念仏安心決定談義本 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0015A01: ば。此方の宗旨には。死ぬるの。生るゝのと云ことは。
Z14_0015A02: 御座なく候と。答ふべし。若然らば。何とて往生を求
Z14_0015A03: め。臨終正念など願ふやと。難ぜば。死なずして死に。
Z14_0015A04: 生れずして生るゝゆへなりと。答ふべし。死なずして
Z14_0015A05: 死に。生れずして生るゝは。生死ありながら。生死は
Z14_0015A06: なきなり。如此安心すれば。生死に於て。大自在なり。
Z14_0015A07: 大安樂なり。かやうの道理は。學問せずとも。志あり
Z14_0015A08: 信心ある人は。合點ゆくべし。然れども。死なずして
Z14_0015A09: 死に。生れずして生るゝと云ことは。大方の人が。深
Z14_0015A10: く信徹して。難有殊勝に思ふことありかぬべし。今
Z14_0015A11: 一箭路。箭一すぢほどの。ほそき路すぢを付べし。
Z14_0015A12: 死而死。不生而生ると云ことの。合點のゆかぬは。
Z14_0015A13: 無始より以來。死ぬと思ひ。生ると思ひつけたるゆへ
Z14_0015A14: なり。然れば。不死と云處。不生と云處を。隨分力を
Z14_0015A15: つくして。つよく思惟すべし。左樣にしたらば。不
Z14_0015A16: 而死。不生而生る處が。難有殊勝に思はるべし。譬へ
Z14_0015A17: ば。砂糖など入たる曲物のふたが。とりてをとつて引
Z14_0015B01: ども。とられぬときは。そのふたの。一方をつよくを
Z14_0015B02: せば。一枚板なれば。必ず前がさがりて。向があがり。
Z14_0015B03: ふたがよくとらるゝなり。如此死ぬる生るは。一法
Z14_0015B04: 界にて。一枚板の如くなれば。死なぬと云處。生れぬ
Z14_0015B05: と云處を。つよくをしたづぬれば。死ぬる生るゝのさ
Z14_0015B06: きが。あがりて。不死而死に。不生而生るゝのふた
Z14_0015B07: が。よくとられて。難有殊勝に思はるゝなり。昔し天
Z14_0015B08: 衣の懷禪師。有時學者に問玉はく。若言穢取淨。
Z14_0015B09: 此欣一レ彼。則是取捨之情。衆生妄想。若言淨土。則
Z14_0015B10: 佛語。修淨土者。當如何修と。此意は。穢土をす
Z14_0015B11: てゝ。淨土をとると云ば。取捨の情とて。妄想妄念な
Z14_0015B12: り。若又淨土なしと云ば。佛の言ばに背く。いかんが
Z14_0015B13: 修行すべきと。問はれたれども。答ふる人なきゆへ。
Z14_0015B14: 禪師自分に答へて云り。生則決定生。去則實不去。又
Z14_0015B15: 譬を取て云。如鴈過長空。影沈寒水。鴈絕踪之意
Z14_0015B16: 水無影之心と。此答の意は。念佛の行者は。生ず
Z14_0015B17: ることは。決定して淨土へ生ずれども。去ことは。實

ウィンドウを閉じる