浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0015A01: | ば。此方の宗旨には。死ぬるの。生るゝのと云ことは。 |
Z14_0015A02: | 御座なく候と。答ふべし。若然らば。何とて往生を求 |
Z14_0015A03: | め。臨終正念など願ふやと。難ぜば。死なずして死に。 |
Z14_0015A04: | 生れずして生るゝゆへなりと。答ふべし。死なずして |
Z14_0015A05: | 死に。生れずして生るゝは。生死ありながら。生死は |
Z14_0015A06: | なきなり。如レ此安心すれば。生死に於て。大自在なり。 |
Z14_0015A07: | 大安樂なり。かやうの道理は。學問せずとも。志あり |
Z14_0015A08: | 信心ある人は。合點ゆくべし。然れども。死なずして |
Z14_0015A09: | 死に。生れずして生るゝと云ことは。大方の人が。深 |
Z14_0015A10: | く信徹して。難レ有殊勝に思ふことありかぬべし。今 |
Z14_0015A11: | 通二一箭路一。箭一すぢほどの。ほそき路すぢを付べし。 |
Z14_0015A12: | 不レ死而死。不レ生而生ると云ことの。合點のゆかぬは。 |
Z14_0015A13: | 無始より以來。死ぬと思ひ。生ると思ひつけたるゆへ |
Z14_0015A14: | なり。然れば。不レ死と云處。不レ生と云處を。隨分力を |
Z14_0015A15: | つくして。つよく思惟すべし。左樣にしたらば。不レ死 |
Z14_0015A16: | 而死。不レ生而生る處が。難レ有殊勝に思はるべし。譬へ |
Z14_0015A17: | ば。砂糖など入たる曲物のふたが。とりてをとつて引 |
Z14_0015B01: | ども。とられぬときは。そのふたの。一方をつよくを |
Z14_0015B02: | せば。一枚板なれば。必ず前がさがりて。向があがり。 |
Z14_0015B03: | ふたがよくとらるゝなり。如レ此死ぬる生るは。一法 |
Z14_0015B04: | 界にて。一枚板の如くなれば。死なぬと云處。生れぬ |
Z14_0015B05: | と云處を。つよくをしたづぬれば。死ぬる生るゝのさ |
Z14_0015B06: | きが。あがりて。不レ死而死に。不レ生而生るゝのふた |
Z14_0015B07: | が。よくとられて。難レ有殊勝に思はるゝなり。昔し天 |
Z14_0015B08: | 衣の懷禪師。有時學者に問玉はく。若言二捨レ穢取レ淨。 |
Z14_0015B09: | 壓レ此欣一レ彼。則是取捨之情。衆生妄想。若言レ無二淨土一。則 |
Z14_0015B10: | 違二佛語一。修二淨土一者。當二如何修一と。此意は。穢土をす |
Z14_0015B11: | てゝ。淨土をとると云ば。取捨の情とて。妄想妄念な |
Z14_0015B12: | り。若又淨土なしと云ば。佛の言ばに背く。いかんが |
Z14_0015B13: | 修行すべきと。問はれたれども。答ふる人なきゆへ。 |
Z14_0015B14: | 禪師自分に答へて云り。生則決定生。去則實不レ去。又 |
Z14_0015B15: | 譬を取て云。如下鴈過二長空一。影沈二寒水一。鴈絕二遺レ踪之意一。 |
Z14_0015B16: | 水無中留レ影之心上と。此答の意は。念佛の行者は。生ず |
Z14_0015B17: | ることは。決定して淨土へ生ずれども。去ことは。實 |