浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0010A01: | かに聞ものが。不生不滅なりと示さる。なるほど。其 |
Z14_0010A02: | 體が。不生不滅にてはあれども。それは。犬にも猫に |
Z14_0010A03: | もある不生不滅にて。人の心の不生不滅には非ず。人 |
Z14_0010A04: | の心と云は。體能義讓。卽人道心と釋して。仁義禮智 |
Z14_0010A05: | の心が。人の心なり。其體が。不生不滅なるものなり。 |
Z14_0010A06: | 孟子に。無二惻隱之心一非レ人也。無二羞惡之心一非レ人也。無二 |
Z14_0010A07: | 辭讓之心一非レ人也。無二是非之心一非レ人也と云て。物を |
Z14_0010A08: | あわれみいたむ心なきは。人に非ず。はぢにくむ心な |
Z14_0010A09: | きも。人に非ず。辭退しゆづる心なきも。人に非ず。是 |
Z14_0010A10: | 非を分つ心なきも。人に非す。此は是此は非と能分つ |
Z14_0010A11: | が。人の心なり。あらそひかつ心なく。人に讓りじぎ |
Z14_0010A12: | するが人の心なり。此はせまひ事。此はきたなひ事と |
Z14_0010A13: | はぢにくむが。人の心なり。一切の物をあわれみて。 |
Z14_0010A14: | 少しもむごひ心のなきが。人の心なり。此心を。儒者 |
Z14_0010A15: | には。四端と云。仁義禮智の本と云なり。佛家にては。 |
Z14_0010A16: | 不殺。不盜。不婬。不妄語の。四戒の意なり。此心を推 |
Z14_0010A17: | し立。推ひろめ。此念を失なわず。そだて守るが。念佛 |
Z14_0010B01: | 申しの手前。腰のすゑやうなり。念佛さへ申せば。心 |
Z14_0010B02: | はきたなくても。惡を作りても。不レ苦と云樣なるこ |
Z14_0010B03: | とは。なきことなり。右云が如く。卽心念佛の。手前を |
Z14_0010B04: | たしなみ。腰を能すゑて。其上に勤むる。卽心念佛の |
Z14_0010B05: | 申し樣は。段々あることなり。めん〱の。力次第な |
Z14_0010B06: | り。藕益大師は。將二平日觀心得レ力處一。融二入持經念佛一 |
Z14_0010B07: | との玉へり。平生一心三諦。一心三觀のことを。能明 |
Z14_0010B08: | らめ得たる人は。何の造作もなく。南無阿彌陀佛と申 |
Z14_0010B09: | す處に。一心三觀が。あきらかなり。此は。上々の卽心 |
Z14_0010B10: | 念佛者なり。我先師の玉へるは。卽心念佛。其要唯在二 |
Z14_0010B11: | 修惡卽性惡一也と。此意は。我等が妄心が。法界に徧じ |
Z14_0010B12: | たるものなれば。十萬億土の極樂も。彌陀。觀音も。我 |
Z14_0010B13: | 妄心を離れず。故に極樂の依報。正報が。卽ち我妄心 |
Z14_0010B14: | なり。我妄心が。卽ち彌陀の依正なり。我妄心。彌陀の |
Z14_0010B15: | 妄境が。卽ち性惡なれば。妄の當體が。三諦法界なり。 |
Z14_0010B16: | かく照すは。三觀なり。それゆへ。卽心念佛の要は。修 |
Z14_0010B17: | 惡卽性惡に在と。の玉へり。如レ此の玉ふは。性惡と云 |