浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0009A01: | 離れずと見れども。事の念佛申しの方よりは。左樣に |
Z14_0009A02: | はゑ云ぬなり。因て法然上人は。唐土吾朝の。諸の智 |
Z14_0009A03: | 者達の。沙汰し申さるゝ。觀念の念にも非ず。又念の |
Z14_0009A04: | 意を。悟りて申す。念佛にも非ずと。拂ひ玉へり。親 |
Z14_0009A05: | は子の事を。善惡につけて。能く思へども。子はわる |
Z14_0009A06: | くすれば。親の事を。思はぬが如し。天台宗の意から |
Z14_0009A07: | は諸宗の淺さ。深さ。高し。低しを能く分ことも。自由 |
Z14_0009A08: | なり。又淺きも。深きも。皆一佛乘にて。結構なる修行 |
Z14_0009A09: | と。みなすことも。自由なり。是か法華經の。相待判麤 |
Z14_0009A10: | と云。絕待開權と云の意なり。然れば。卽心念佛と申 |
Z14_0009A11: | す人は。諸宗の親なるべし。因て法華經の藥王品に |
Z14_0009A12: | は。又如二大梵天王。一切衆生之父一。此經亦復如レ是。一 |
Z14_0009A13: | 切賢聖學無學。及發二菩薩心一者之父と。說せ玉へり。同 |
Z14_0009A14: | 發菩提心。往生安樂國と。唱ふる人は。皆卽心念佛を |
Z14_0009A15: | 父とすべし。卽心念佛と云は。段々言通り。淨土も。彌 |
Z14_0009A16: | 陀も。我心を不レ離と照して。念佛申ことなり。此外に |
Z14_0009A17: | はなきなり。 |
Z14_0009B01: | 卽心念佛の申し樣の事 |
Z14_0009B02: | 總じて念佛修行の儀式。法要等は。自他宗の祖師達 |
Z14_0009B03: | の。具さにのべをき玉へることなれば。今此を申し沙 |
Z14_0009B04: | 汰するに及ばず。今は卽心念佛の申し樣の沙汰なり。 |
Z14_0009B05: | 其に就て。拙僧が。先年より申す通り。凡そ世間の藝 |
Z14_0009B06: | 能には。手前と云事を。本にするなり。又能をし。舞を |
Z14_0009B07: | まう人。たばこきざみ。かごかきまでも。腰をすゆる |
Z14_0009B08: | が本なり。然れば。卽心念佛の行者も。手前を能し。腰 |
Z14_0009B09: | をすゆるを。本とすべし。其手前。腰のすへやうは。と |
Z14_0009B10: | かく佛道修行は。六道の中にては。人道が最上なれ |
Z14_0009B11: | ば。人間の心になり。人間の心を失なわぬが。念佛申 |
Z14_0009B12: | しの手前。腰のすゑやうなり。ひつかりすれば能見。 |
Z14_0009B13: | くわつたりと云ば。能聞。高き處に上れば。遠き處を |
Z14_0009B14: | も能見。しづかになれば。十方の事も能聞は。不思議 |
Z14_0009B15: | に。明かなる心なれども。此心は。犬猫にもあり。牛に |
Z14_0009B16: | も馬にも。持たる心なれば。人の心とは云れず。近き |
Z14_0009B17: | 比の去禪宗は。烏が啼ば。明かに聞。犬がほゆれば。明 |