浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0008A01: | 因て大佛頂經には。含二吐十虛一。寧有二方所一と說て。吾 |
Z14_0008A02: | 等が物を思ふ心は。十方の虛空を。吐出しもし。又十 |
Z14_0008A03: | 方の虛空を。含でもをるものなり。然れば。十萬億土。 |
Z14_0008A04: | はるかに遠く。彌陀如來。結構なる佛と云ども。我心 |
Z14_0008A05: | を離れぬが。卽心なり。さて念佛と云は。前に云し通 |
Z14_0008A06: | り。根本。心に思ふことなり。然るに。佛敎の意。無想 |
Z14_0008A07: | 無念を談ずる。一筋あり。因て禪宗などは。殊の外。念 |
Z14_0008A08: | を嫌ひ。想を嫌ふなり。然れば。念レ佛は。迷の方なる |
Z14_0008A09: | べしと云不審。古へよりこれあることなり。此云分 |
Z14_0008A10: | も。古への祖師達。くはしくしをき玉へり。其趣きを。 |
Z14_0008A11: | 荒增申さば。先づ儒書の意にても。書經の多方の篇に。 |
Z14_0008A12: | 惟聖罔レ念作レ狂。惟狂克念作レ聖とあり。此語は。藕益 |
Z14_0008A13: | 大師も。度々引用し玉へり。此語の意は。たとひ上々 |
Z14_0008A14: | の聖人なるも。善を念ぜざれば。狂亂の人となる。た |
Z14_0008A15: | とひ下々の亂氣人も。善を念ずれば。聖人となるな |
Z14_0008A16: | り。念ほど能事はなきなり。さて楞伽經には。用レ楔出レ |
Z14_0008A17: | 楔と說玉へり。楔を打拔には。其わきに。また楔をう |
Z14_0008B01: | てば。本の楔が拔出るなり。此譬への通り。念佛の念 |
Z14_0008B02: | にて。諸の妄想惡念が拔出るなり。猶又。眞實の無念 |
Z14_0008B03: | 無想の位は。只彌陀。釋迦の如くなる究竟妙覺の位な |
Z14_0008B04: | り。其より下は。起信論に。一切衆生。從レ本以來。念念 |
Z14_0008B05: | 相續。未二曾離一レ念と說て。一切衆生は。念想を離れざれ |
Z14_0008B06: | ば。念でなければ。修行はならぬなり。猶又。法華圓頓 |
Z14_0008B07: | の意は。修惡全性惡と知ば。念が卽ち無念なり。此が |
Z14_0008B08: | 卽心念佛の極意なり。如レ此念卽ち無念。修卽ち性な |
Z14_0008B09: | れば。高聲に南無阿彌陀佛と唱へ。數珠をくりて。所 |
Z14_0008B10: | 作を勤むるを人が見て。能く念佛申すと云ば。一念も |
Z14_0008B11: | 不レ念。一返も不レ申と答へても。そむかぬことなり。さ |
Z14_0008B12: | て所レ念の佛は。三身具足の彌陀なり。三身は。三諦な |
Z14_0008B13: | り。三諦の彌陀を念ずるは。卽ち一心三觀なり。此理 |
Z14_0008B14: | を知て。此理を照すは。上々の人なり。此理を知ねど |
Z14_0008B15: | も。此理は離れぬものなれば。愚癡無智の人の申す念 |
Z14_0008B16: | 佛も。一心三觀の卽心念佛と云に。相違なきなり。此 |
Z14_0008B17: | 則卽心念佛の人よりは。事の念佛申すも。卽心念佛を |