浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0005A01: | も。度々聞ば。後には合點ゆくものなり。退屈すべか |
Z14_0005A02: | らず。其上又。人の宿習は。知ぬことなり。面々昔し如 |
Z14_0005A03: | 何なる種を。まきをきたるも。知ぬことなれば。念佛 |
Z14_0005A04: | の功德にて。昔しまきをける。大乘の智慧の種が。發 |
Z14_0005A05: | することもあるべし。天台宗の念佛申しの。圓解の明 |
Z14_0005A06: | らかならぬは。大いに富る盲兒の如くなるべし。大福 |
Z14_0005A07: | 長者の家には。七珍萬寶。衣服米穀。數かぎりもなく |
Z14_0005A08: | あれども。目の見へぬ。長者の子は。其寶物を見分る |
Z14_0005A09: | ことは。曾てならず。寶は目に見へねども。父母の言 |
Z14_0005A10: | を聞て。家の內に。七珍萬寶盈滿りと思はゞ。心面白 |
Z14_0005A11: | かるべし。況や飢こゞへに。及ぶべきかなどの氣遣 |
Z14_0005A12: | は。微塵もなき筈なり。卽心念佛には。無量の功德備 |
Z14_0005A13: | りたりと聞て。其譯は。心の目に見へねども。こゝろ |
Z14_0005A14: | よく思ひ。決定往生に氣遣なくて。勤むべし。勤めて |
Z14_0005A15: | ゆく內には。念佛の功德にて。過去の罪が滅し。さと |
Z14_0005A16: | りの目開けて。大いに喜ぶことあるべし。たとひ業障 |
Z14_0005A17: | 重くて。今生にて。悟りの目開けずとも。往生したら |
Z14_0005B01: | ば。彌陀。觀音の。諸法實相。除滅罪の法を。說せ玉ふ |
Z14_0005B02: | を聞て。早速に甚深の悟りが開くべし。此亦觀經に。 |
Z14_0005B03: | 慥なる證據あり。此界にて。小乘の修行を務めたる人 |
Z14_0005B04: | は。其小乘の行を。回向發願すれば。極樂へ往生す。極 |
Z14_0005B05: | 樂にて。鳥の聲。林の音を聞て。小乘の法を悟り。阿羅 |
Z14_0005B06: | 漢果を得と說せ玉へり。此れ宿種ゆへなり。此にて知 |
Z14_0005B07: | たり。卽心念佛を務むる人は。縱ひ今生に。明かなる |
Z14_0005B08: | 圓解開けずとも。往生したらば。速かに諸法實相の圓 |
Z14_0005B09: | 解。谿然と朗かに開くべし。事の念佛ばかりにて。往 |
Z14_0005B10: | 生したるは。宿習なきゆへ。悟りかねて。ぐづゝくべ |
Z14_0005B11: | し。其人が。卽心念佛の人の。早く悟るを見ては。けな |
Z14_0005B12: | りく思ふべし。勤むべきは。卽心念佛なり。上だんだ |
Z14_0005B13: | ん云通りは。觀經の所說なれば。卽心念佛の名は。近 |
Z14_0005B14: | く四明より出れども。根本は。佛の所說にて。未來世 |
Z14_0005B15: | の。一切の凡夫の爲にし玉ふ處なれば。慥に思ひ。信 |
Z14_0005B16: | 受して。勤むべきことなり。善導。法然の勸めの。事の |
Z14_0005B17: | 念佛は。大慈大悲より。末世の劣機に逗ぜんがため。 |