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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0406A01: にた〻ぬ身になりたらん。大要の事也。
Z08_0406A02: ○天地は。天地ものいはずして。四時おこなはれ。
Z08_0406A03: 萬物なる也。○何事も要にた〻ぬ。用にたてば。名
Z08_0406A04: 利の心のこりていそがはし。用にた〻ねば心しづ
Z08_0406A05: かに。身いとまありて。佛道を修するによし。
Z08_0406A06: ○明禪法印云。聖法師の。今生に德をひらく事は。大
Z08_0406A07: 略後世のためにはすてものなり。
Z08_0406A08: ○聖法師。世すて人の事也。
Z08_0406A09: ○又云。聖法師は。功德に損するなり。功德をつくら
Z08_0406A10: むよりは。惡をと▲むべきなり。
Z08_0406A11: ○功德に損する。佛をつくり。寺をたて。その外。
Z08_0406A12: 興福の事にか〻る人。はじめの心ざしはよけれど
Z08_0406A13: も。事にふれて。欲心もおこり。わが身には。うるはし
Z08_0406A14: く後世のつとめするひまもなくて。はてには名聞
Z08_0406A15: におちて。道心も退轉する也。
Z08_0406A16: ○又云。利益衆生とて。こと〲しくせねども。眞實
Z08_0406A17: に生死をはなれんとだにおもへば。分々に利益はか
Z08_0406A18: ならずあるなり。
Z08_0406A19: ○又云。しやせまじ。せでやあらましと。おぼゆるほ
Z08_0406A20: どの事は。大抵せぬがよきなり。
Z08_0406B01: ○しやせまじ。せでやあらまし。なすべきか。やむ
Z08_0406B02: べきかなり。兼好の詞に。あらためて益なき事は。
Z08_0406B03: あらためざるをよしとすとありし。おなじ心なり。
Z08_0406B04: ○敬佛房云。婬事對治。不淨無常は猶ほ次ぎ也。只以
Z08_0406B05: 。依之故上人(タレトモシレズ)は。あながち
Z08_0406B06: にうれへず。貧賤をさきとする故也。今の後世者は。
Z08_0406B07: 其身富有なるがゆへに。此事難云云。同上人。あか
Z08_0406B08: らさまにても。男女の間の事。物語にし給はず。
Z08_0406B09: ○婬事對治。婬欲を對治せんには。人身の不淨を
Z08_0406B10: 觀じ。自他の無常を觀ずるがつねの事なれども。そ
Z08_0406B11: れよりも。貧乏が第一の對治にてあるとなり。婬欲
Z08_0406B12: も。衣食住のゆたかなるうへの事也。はだへさむく
Z08_0406B13: 食ともしくば。色欲もをのづからおこらじと也。
Z08_0406B14: ○同上人。或同朋に。後世者の究竟の事。をしへんとて
Z08_0406B15: 。身はいやしくて。心はたかく有りなん。(下知の詞也)
Z08_0406B16: ○究竟の事。至極肝要の事也。○身はいやしくて
Z08_0406B17: 身をたかくもてば。愛執。貪欲。憍慢。名聞などおこ
Z08_0406B18: りて。𨻶もなく身持もむつかし。○心はたかく。名
Z08_0406B19: 利の小節を見くだして。出離の大志をたつる義也。
Z08_0406B20: ○明禪法印云。後世をたすからむとおもはんものは。

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