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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0405A01: へをとふに。亭主こたへて云。名取郡にうつりすむべ
Z08_0405A02: きゆへなり云云。敬佛房。これをき〻て落涙し。同行
Z08_0405A03: に示M(シテ)。欣求の心あらば。自然に穢土を執すべから
Z08_0405A04: ず。才覺にいはれける也。
Z08_0405A05: ○四壁。家の四方の壁也。○大堺。屋敷のさかひ
Z08_0405A06: の垣など也。○名取郡。奧州郡の名也。名所なり。
Z08_0405A07: ○行仙房云。佛道をねがふといふは。別にやみ〱
Z08_0405A08: しき事なし。ひまある身となりて。道をさきとして。餘
Z08_0405A09: の事に心をかけぬを第一の道とす。
Z08_0405A10: ○やみ〱しき。心やましき事也。○ひまある身。
Z08_0405A11: 是が所詮なり。身にひまなければ。心もしづかなら
Z08_0405A12: ず。心しづかならねば。道心も修行もす〻まぬ也。
Z08_0405A13: ○下津村慈阿彌陀佛云。竹はら聖がよき也。遠山の
Z08_0405A14: 紅葉。野邊一樹などの樣に。人めにたつはあしきな
Z08_0405A15: り。
Z08_0405A16: ○人めにたつ。人のうやまひをうけて。自然に名
Z08_0405A17: 聞になる也。佛も異をあらはして。衆をまどはすを
Z08_0405A18: いましめ給へり。古德も狂をあげ。實をかくせとを
Z08_0405A19: しへられたり。
Z08_0405A20: ○法然上人云。道心をばぬすみて發したるがよき也。
Z08_0405B01: ○道心をばぬすみて。元曉法師の持犯要記にも。
Z08_0405B02: 內淨外染をほめられたり。古人眞實に道心ありし
Z08_0405B03: は。狂せるがごとくして名利をいとひ。內行まこと
Z08_0405B04: ありけり。
Z08_0405B05: ○或人の云。後世者は。したき事をとゞむるなり。心
Z08_0405B06: にしたき事は。みな惡事なるがゆへなり。
Z08_0405B07: ○したき事をと▲むるなり。寶雲經。心相
Z08_0405B08: 大患之本ナリ。不ヲM(シテ)自在已上平泰
Z08_0405B09: 時の歌に。世を海のあまの小舟のつな手繩。心のひ
Z08_0405B10: くに身をなまかせそ。
Z08_0405B11: ○明禪法印云。凡夫はなにごとも。まさしく。そのこ
Z08_0405B12: とにのぞまぬほどなり。意樂はいみじき樣なれども。
Z08_0405B13: 事にふれてうごきやすきなり。
Z08_0405B14: ○凡夫は何事も。ひとりある時は。欲もたえたる
Z08_0405B15: やうなれども。こびたる色にむかへば。愛心もおこ
Z08_0405B16: り。富貴の樣子をみれば。うらやむ心もいでつる也。
Z08_0405B17: ○意樂。平生の心入れなり。樂の字。ねがふとよむ
Z08_0405B18: ときは。げうの音也。
Z08_0405B19: ○行仙房云。天地は。もの〻要にた〻ずといへども。諸
Z08_0405B20: の事をふくめり。道人もかくのごとし。た▲何事も要

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