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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0398A01: 一の不審を披くといへども。するにしたがひて。あら
Z08_0398A02: ぬ不審のみ。いできたるあひだ。一期は不審さばくり
Z08_0398A03: にて。心しづかに念佛する事もなし。然而念佛のたよ
Z08_0398A04: りにはならで。中々大なるさはりにて候也。
Z08_0398A05: ○決定往生のつと。家土產といふは。俗にみやげ
Z08_0398A06: といふ事也。旅裏といふは。旅にもつ食物なり。往
Z08_0398A07: 生のつと〻は。往生の資糧なり。○往生の要。往生
Z08_0398A08: の支度の樞要なり。○不審。いぶかしき事也。○さ
Z08_0398A09: はくり。とりあつかふ義也。
Z08_0398A10: ○信空上人問。智慧もし往生の要たるべくば。正
Z08_0398A11: 直に仰をかふむべりて。修學をいとなむべし。又た▲
Z08_0398A12: 稱名不足なくば。そのむねを存ずべく候云云。答
Z08_0398A13: 業は。是稱名といふ事。釋の文分明也。有智無智を不
Z08_0398A14: 簡といふこと。又以顯然なり。然ば爲往生稱名爲
Z08_0398A15: 。學問を好まんとせんよりは。一向に念佛すべし。
Z08_0398A16: 彌陀觀音。勢至に奉逢の時。何の法文が達せざらん。
Z08_0398A17: 念佛往生のむねを。しらざらむほどは可之。もし
Z08_0398A18: 是を知りをはりなば。いくばくならざる智慧をもと
Z08_0398A19: めて。稱名の暇を。さまたぐべからず。
Z08_0398A20: ○此答は法然上人なり。○往生の業。業は業因也。
Z08_0398B01: ○釋の文分明なり。散善義の一心專念の文。又要
Z08_0398B02: 集の念佛爲本の文。其外にもかず〱あきらかな
Z08_0398B03: り。○有智無智を。五會讚に。不下智高才
Z08_0398B04: あり。又選擇集第三章をも見るべし。○何の法文か
Z08_0398B05: 達せざらん。惠心僧都は。唯識は淨土を期す〓との
Z08_0398B06: 給ひ。聖覺法印も。大小經典の義理は。百法明門の暮
Z08_0398B07: をまつべしとら仰せられたり。○是を知りをはり
Z08_0398B08: なば。此分齊をよく合點すべし。
Z08_0398B09: ○黑谷善阿彌陀佛物語。解脫上人の御もとへ。聖
Z08_0398B10: まいりて同宿したてまつりて。學問すべきよしを申
Z08_0398B11: すかの御返事に云。御房は發心の人と見たてまつる。
Z08_0398B12: 學問してまた(全)く無用なり。とく(疾)かへりたまへ。
Z08_0398B13: これに候ものどもは。後世の心も候はぬが。いたづら
Z08_0398B14: にあらんよりはとてこそ。學問をばし。(仕)候へとて追
Z08_0398B15: ひ返されしと云云。
Z08_0398B16: ○同宿。おなじいほりにやどる事也。○學問してま
Z08_0398B17: たく無用也。南都に學匠ありけり。春日大明神。夢中
Z08_0398B18: に。法門など御物がたりありけれども。御面をば。む
Z08_0398B19: けさせ給はず。學生なれば。法門をばいへども。道心
Z08_0398B20: がなき故に。面はむけぬなりと。仰ありけるとなん。

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