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Z0410 標註一言芳談抄 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0399A01: ○敬蓮社云。日來後世の心あるものも。學問などしつ
Z08_0399A02: れば。大旨は無道心になる事にてあるなり。或人。明
Z08_0399A03: 遍僧都にたづね申。一向に後世のためと思ひて。
Z08_0399A04: し候はん學問。いか▲候べき。仰。始は後世のた
Z08_0399A05: めとおもへども。後には皆名利になるなり。おり〱
Z08_0399A06: 。某が身には。此御山に。ゐそめたりけるが
Z08_0399A07: 惡事にて候ひける。遁世しなん後は。ほたの上に。み
Z08_0399A08: そやきなどうちをきて。はさみ。くふふぜい(風情)にて。
Z08_0399A09: なんずるとこそ思ひしに。かへりて。道心者になり
Z08_0399A10: て。ゆ〻しげなるありさまにて候事。本意相違の事也。
Z08_0399A11: これは內心をばしらず。か樣にて閉たる體に候
Z08_0399A12: 事を。人の。心にくきおもへるゆへなりとて。にがみた
Z08_0399A13: まひしなり。
Z08_0399A14: ○此御山。高野山なり。明遍僧都。蓮華谷にこもり
Z08_0399A15: 給ひし也。○ほたの上に。煨の字をほたくゐと訓
Z08_0399A16: ず。をきの事也。○みそやき。燒味噌なり。○ゆ〻
Z08_0399A17: しげなる。忌々敷とかく也。いま〱しき心也。處
Z08_0399A18: によりて心かはる也。○にがみたまひしなり。に
Z08_0399A19: がにがしきかほなり。源氏は〻木の卷に。あつきに
Z08_0399A20: と。にがみ給へばとあり。
Z08_0399B01: ○敬佛房云。非人法師の身に。學問無用といふことも。
Z08_0399B02: 分齊あるべき事なり。器量あらんものは。如。往生
Z08_0399B03: 要集のもじよみ(文字讀)ふぜいの事をも(以)て。生死無常
Z08_0399B04: のいとふべきことはり。念佛往生のたのもしき樣な
Z08_0399B05: ど。時々はくり見るべき也。されど。明遍僧都御房も。
Z08_0399B06: 念佛者の十樂おぼえざらんは。無下の事也など。仰せ
Z08_0399B07: られたるなり。又學問すべしといへばとて。一部始終
Z08_0399B08: を心得わたし。文々句々。分明に存知せんなどいふ心
Z08_0399B09: ざしは。ゆめ〱あるべからず。た▲。もじよみなど
Z08_0399B10: したるに。やすらかに。心得らる〻體なり。大要たとき
Z08_0399B11: (貴)所くり見るほどの事なり。此故實を得つれば。敎
Z08_0399B12: の本意に相違せずして。後世にす〻む大要となるな
Z08_0399B13: り。又他をす〻むる利生のため。ことに大切なり。又
Z08_0399B14: これ程の事なりとも。我執名聞も。まさる樣におぼえ
Z08_0399B15: ば。一向に可-止之。藥を毒となさむ事。返す〲を
Z08_0399B16: ろかなる事也。一文一句なりとも。心えによりて。念
Z08_0399B17: 佛もまめにおぼえ。後世の心もす〻み。かきいそぐ樣
Z08_0399B18: なる心ばへ。いでくる體に。おぼへば。たうとき文ど
Z08_0399B19: もをも。時々は見るべき也。但。天性器量をろかなら
Z08_0399B20: んものと。これほどの學問もなくとも。一向稱念すべ

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